米聖公会が03年に同性愛の司祭を任命したことをめぐり、聖公会内部の分裂も危ぶまれるなか、カンタベリー大司教は16日、今年秋にも米聖公会の主教らと会談することを明らかにした。AFP通信が18日報じた。カンタベリー大主教は、同性愛司祭の就任や、同性の結婚をめぐり生じている教会内部の分裂の修復を目的とし、16日から3日間カナダを訪問していた。
米聖公会は、世界中の聖公会指導者らから、9月30日を期限として同性愛司祭の任命と、同姓カップルの承認・祝福儀式を中止するように求められていたが、今月初めに要求拒否の姿勢を示し、聖公会分裂という事態を避けるために、カンタベリー大司教との直接会談を求めていた。
カンタベリー大司教は、同性愛の問題をめぐって教会内部での意見対立が深刻化し、聖公会全体に分裂の脅威を与えるほどになっていることを指摘し、相互理解のために十分な議論の場を提供することが自身の重要な役割であることを伝えた。
世界の聖公会の過半数は同性愛者の聖職着任に否定的な立場を維持しており、特にアフリカの聖公会で反対姿勢が強い。しかし、こうした意見は米聖公会では少数派となっている。
米聖公会の信徒数は230万人と、世界に7700万人いる聖公会全体の信徒数に比べれば、全体の3%を占めるに過ぎない小数派となるが、国外伝道や経済的支援などの面で積極的な活動を行なっており、その影響力は大きい。経費負担の面で見れば、米聖公会は聖公会全体の3分の1以上を拠出しており、その額は年間で1800万ドル(約21億円)にものぼる。