スリランカ政府と反政府組織タミル・イーラム解放の虎(LTTE)との間の対立が激化するなか、世界教会協議会(WCC)のサムエル・コビア総幹事は先週20日、懸念を示す声明を発表した。コビア総幹事は声明で、スリランカ政府に停戦の姿勢をあくまでも堅持するように求め、数十年にわたる紛争で苦しむ人々のための継続的な祈りを求めた。
コビア総幹事は、「我々は、現在スリランカで紛争が拡大し、数千人もの命が危険にさらされていることを深く憂慮している」と述べ、「我々WCCは、軍事的に解決を求めたとしても無駄に終わるだけだと考える。スリランカ政府は、この紛争に対して死者を出さない賢明な方法として政治的な解決を(国民に)約束するべきだ」と、スリランカ政府に対して平和的解決を求めた。
スリランカ政府とLTTEの間では02年に正式な停戦協定が結ばれた。しかし、ノルウェーを中心とした世界各国からの平和的解決にむけた働きかけにも関わらず、05年から再び対立が深刻化している。
両者に対して対話と交渉による平和的な解決を呼びかけてきたコビア総幹事は、「我々はスリランカ政府とLTTEに対して、停戦協定の義務を守るように、また多くの命が危険にさらされている紛争の永続的な解決を訴えてきた」と語り、「我々は、スリランカの平和のために尽力している人々、特にスリランカの平和のために活動している教会のために、神の恵みと導きがあることを祈る」と伝えた。
LTTE側は、この紛争がスリランカで310万人の少数民族であるタミル人の分離独立のための戦いだと述べており、スリランカでタミル人は人種差別を受けていると主張している。
国連の報告によれば、紛争による死者はこれまでに7万人にのぼり、対立が深刻化し始めた昨年4月からの避難民20万5千人を含めて、46万5千人が避難生活を強いられているという。