米バージニア工科大学で16日朝に起きた米史上最悪の銃乱射事件を受け、教団・教派を超えたキリスト教界の指導者たちが、米政府に対して銃規制の強化を強く呼びかけている。
米国キリスト教協議会の総幹事を務めるボブ・エドガー師は、銃による暴力と犯罪を取り締まるために、「確固たる法的規制が必要だ」と訴えている。米国では今までにも、キリスト教界の指導者たちが連邦議会や大統領に対して銃規制を呼びかけるメッセージを投げかけてきた。しかし外部団体などからの圧力もあり、米政府が積極的な取り締まりに乗り出すことはなかった。そのことを受けてエドガー師は、「キリスト教界の指導者たちはこの国における慢性的な銃犯罪に対してもっと批判の声をあげるべきだ」と訴えた。さらに、「銃の製造と流通に歯止めをかけるために最善を尽くすべきだ」と主張した。
また、「今回の事件によって銃は人々に安心を与えるものではなく、ただ不安と危険を駆り立てるだけのものであることがわかったと思います」と述べ、キリスト教の指導者たちだけではなく、全米中の宗教指導者たちに対して銃の規制強化に向けた取り組みへの協力を呼びかけた。
世界教会協議会(WCC)のサムエル・コビア総幹事も今回の無差別殺人事件に対して深い悲しみの意を示し、「銃の世界的な流通を食い止めるための適切な規制処置が必要だ」と訴えた。そのうえで、「米政府が銃の所持を容認していることがその目標を達成するための一番の障害になっている」と嘆いた。
改革派教会世界連盟(WARC)総幹事のセトリ・ミョーニ師は、「米国を含めた世界中の国々が武力に依存することを止め、人々が真の安心と安らぎを得ることができる体制が早急に整えられることを願う」と語った。
世界ルーテル連盟会長で米国福音ルーテル教会議長のマーク・ハンソン師は、詩篇130篇「主よ。深い淵から、私はあなたを呼び求めます。主よ。私の声を聞いてください」の聖句を引用し、今回の銃撃事件に対する悲しみを表した。
米国では、合衆国憲法で「武器を持つ権利」が保障されており、あくまでも「不法な銃の取り締まり」までの規制しか認められていない。そのため、銃の所持そのものを規制する広範な運動には至っていない。