ブッシュ米大統領は18日、北朝鮮の人権と自由の促進を目的とした「北朝鮮人権法案」に署名し、同法案は正式に成立した。同法案はこれまで、全米のクリスチャンやキリスト教系人権団体などから支援を受けた。ブッシュ米大統領は署名後の声明で、「北朝鮮での人権と自由の促進を意図したもの」と評価した。
同法は、日本人や韓国人の拉致問題について「全面的な情報の開示」と「本国への速やかな帰国」を北朝鮮に求めるほか、北朝鮮国内の人権状況が実質的に改善されない限り、表現や信教の自由などと並び、人道支援以外の援助を禁じている。また、中国への脱北者支援にあたる民間団体に2005年から4年間にわたり、毎年2000万ドルを提供するほか、北朝鮮向けに海外情報を伝えるためのラジオ放送を強化することなどを求めている。
北朝鮮は、今年9月に米国務省が発表した世界各国の宗教の自由に関する2004年の年次報告で、宗教弾圧を行う「特に懸念のある国」(CPC)とされた。宣教団体『米オープン・ドアーズ』が「ワールド・ウォッチ・リスト」で発表する「キリスト者が最も迫害される国」のトップ50国でも、北朝鮮は首位(3年連続)だった。
北朝鮮が国連などから受けている大量の援助食糧は、軍や朝鮮労働党に優先的に配分され、また自由市場(ブラック・マーケット)で数十倍の値段で取引されるため、民間人への配給はほとんど実施されていないという報告もある。政治犯やキリスト教信者への拘留、虐待、処刑などでの人権侵害も顕著だという。
北朝鮮における餓死者について、米政府は100万人程度、キリスト教の国際的な援助団体「ワールドビジョン」は200万人程度と推測しており、また一部では400万人を超えるともいわれている。(ChristianPost.com)