諸教会が一致して伝道の働きに弾みをつける目的で、合同教会としての諸課題を鮮明化して教会間における葛藤の緩和と相互理解をめざす日本基督教団(東京・新宿区)は、常議員会と信仰職制委員会が中心となって聖礼典(洗礼・聖餐)の執行方法に関する意見を各方面から集め、教団としての統一見解を出す努力をする方向で検討を開始する模様だ。
第35総会期常議員会は今月12−13日の第1回常議員会で、聖礼典の正しい執行による教会の一致を目指す決意を表明した。今後、同教団信仰職制委員会に付託して出される答申をもとに担当会を設置して調整するか、現行の教憲教規を順守するよう加盟教会に求めるなど何らかの行動をとる。これまで公的な場では具体的な協議が行われなかった聖礼典の課題について、慎重に歩みを進めつつ最終的に教団としての見解を出すとみられる。
日本基督教団は1941年の教団成立時、教団を構成する諸教派ごとに教師制度が異なっていたため、正教師(牧師)と補教師(伝道師)という2種類の教職を設けて対応した。教団の教憲教規は補教師による聖礼典の執行を認めていないため、補教師が主任を務めている教会によっては補教師が聖礼典を執行することがあり、教規順守を求める教団執行部との間で「正しい聖礼典」の解釈をめぐって論争が続いている。
また、一部の教会で陪餐員以外の出席者を聖餐にあずからせていることが発覚し、教会間で意見が分かれている。日本基督教団は、信仰を告白してバプテスマを受けた人および幼児洗礼後に堅信礼または信仰告白式を終了した人だけが陪餐員となり聖餐にあずかる資格を持つと定めている。
多様な背景を持つ諸教会の現状を踏まえるべきとの反論が教団執行部に対してなされる一方、双方が現行の教憲教規に則った教会形成を目指していることが確認されなければ対話自体が意味を成さないとの意見もある。
常議員会では、一部の教会との関係に影を落とす課題を専門部会に委ねることで、教会の本質である伝道の使命において諸教会の声を一つにする効果が期待されているとみられる。反面、各個教会主義の教会や合同認識において教団側と差異のある教会とは議論が平行線をたどる恐れもある。