ウェスレアン・ホーリネス教団・首都圏信徒大会(同教団教育部主催)が24日午後2時半から、東京・新宿区にある淀橋教会(峯野龍弘牧師)で開催され、創設者・松下幸之助で有名なPHP研究所・参与の岩井虔氏が講演。同教団の教会信徒ら約60人が参加した。
岩井虔氏は1936年、クリスチャンホームに生まれる。58年、京都大学教育学部卒業ののち、松下電器産業株式会社に入社。61年、株式会社PHP研究所へ出向し、以後28年間、「経営の神様」と呼ばれた故・松下幸之助の側近として仕えた。現在、PHPゼミナールなど、主として企業人のための研修、講演に携わり、自身がじかに学んだ松下幸之助の経営理論を今に伝えている。PHP研究所参与。
人間と同様、企業の真価は、危機の状況でこそ発揮される。松下電器産業は、同社の温風器事故の不祥事発覚後、「何のために企業が存在しているのか」との原点に返った。「何よりも、お客様1人の命が大事」――自社の業績よりも「人の命」を優先した。「会社は金儲けではない、人様のお役に立つもの」故・松下幸之助の経営理論が、彼の死後十数年たっても、確かにそこに働いていた。
岩井氏は、イエス・キリストが身をもって示された「己の命を懸けて人を愛する」「他人がしてほしいと思うことを私が先にする」という愛は、「たとえ業績上のリスクを負ってでも、お客様の利益を優先する」という松下幸之助の経営理論の中にも生きていることを語った。
まさにこの「命がけ」の決断が、「人々の命を救う」使命を持った教会、信徒1人ひとりにこそ必要なのではないか。岩井氏は、韓国のある教会を訪れたとき、信徒1人ひとりの姿勢にまさにこの「命がけ」の愛を見、日本の教会との余りのギャップに驚いて「目を覚ました」という。また、教会の中ばかりに目を向け、教会の外にいる人々への関心を教会が失ってはいけないことも強調した。
最後に岩井氏はマタイ5:13〜16を拝読し、クリスチャンが「目を覚まし」、本当の意味で世のために役立つ「地の塩」、この暗い世の中を明るく照らす「世の光」になるよう集まった信徒たちを励ました。