バッハの宗教曲に取り組む合唱団として著名な「盛岡バッハ・カンタータ・フェライン」は先月28日、盛岡市の県民会館で創立30周年を記念し「ヨハネ受難曲」の演奏会を開いた。バッハ演奏の権威ヘルムート・ビンシャーマン氏(86歳、ドイツ)を指揮者として迎え、約1300人の観衆を前にバッハの荘重な響きを奏でた。岩手日報が報じた。
管弦楽と福音史家(エヴァンゲリスト)、独唱と合唱によって構成される「ヨハネ受難曲」はオペラに近い。管弦楽は東京バッハ・カンタータ・アンサンブルのメンバーが担当、福音史家と独唱部分は国内外のプロのソリストらが務め、合唱団を含めて総勢約130人がイエス・キリストの受難の場を曲で再現した。
バッハの4大宗教曲の一つである「ヨハネ受難曲」は、十字架の上で処刑されるイエス・キリストの愛を歌ったもの。当時ルター派の信仰を持った敬虔(けいけん)なクリスチャンだったバッハは、ルターが翻訳したドイツ語聖書のヨハネの福音書18章・19章に書かれたイエスの受難の記事を基に作曲したとされている。
イエス・キリストの受難を歌ったバッハの受難曲には「ヨハネの受難曲」のほかに「マタイの受難曲」などがあるが、バッハは「ヨハネの受難曲」を生涯に4度演奏したことが知られており、この曲に特別な愛着を持っていたと言われている。