共産党政権下のチェコ・スロバキアで徴兵を拒否し、2度に渡って投獄されたキリスト者で世界的チェリストのヴラダン・コチさんが、26日に横浜市で開かれるコンサートで来日公演を行う。演奏する曲は、自身が投獄中、詩篇130編からイメージを与えられて書いた作品『深き淵より』。絶望の中から神に向けた魂の叫び、祈りの中で与えられた心の平安、希望の光を伝えたいという。
このコンサートは、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの創立45周年を記念して企画したもの。アムネスティは、「良心的兵役拒否」を理由として88年と89年の2度にわたって投獄されたコチさんを「良心の囚人」と認め、日本を含む世界中の会員が釈放を求める手紙をチェコ・スロバキア政府に送った。また、コチさんの妻と長男(当時3歳)を精神的、物質的に支援した。
コチさんは現在、チェコのプラハ音楽院で教授を勤める傍ら、チェリストとしてヨーロッパを中心に演奏活動をしている。老人ホームや病院、ホスピスでのボランティア演奏、妻ハナさんと、チェリストで現在ニューヨーク・ジュリアード音楽院在学中(特待生)の長男(20)、ヴァイオリニストの長女(15)と共に、ファミリー・オーケストラでも演奏している。
来日公演にあたりコチさんは、「お話したいことがたくさんありますが、言葉では伝えきれません。音楽というまさにインターナショナルな『言語』で私の心を開きたいと思い、私の作品『深き淵より』を演奏いたします」と話している。
コンサートは26日午後7時から、会場の横浜みなとみらいホール・大ホールで開催する。バイオリニストの天満敦子さんも出演。問い合わせは、アムネスティ・インターナショナル日本(電話:03・3518・6777、ファックス:03・3518・6778)まで。