三浦綾子読書会(長谷川与志充代表)は28日、「三浦綾子氏召天記念集会」を日本基督教団根津教会(東京・文京区)で開催した。集会では、故・三浦綾子さんの初代秘書を務めた宮嶋裕子さん、夫・三浦光世さん、キリスト教月刊誌「信徒の友」元編集長で日本基督教団松戸教会の石井錦一牧師の3人が講演した。それぞれが綾子さんの文書伝道の歩みを振り返った。
この集会は、作家・三浦綾子さんの10月12日の召天日に合わせて、同会が毎年行っているもの。今年は7年目の召天日にあたる。
講演の中で宮嶋さんは、13年の闘病生活を送った綾子さんの生涯を振り返りながら、「大きな仕事をするとき、神はマイナスを人に与える」と語り、綾子さんの受けた苦しみが逆に、数え切れない読者を励ます大きな力になっていると証しをした。
北海道・旭川の極寒の地で、職場に勤めながら小説『氷点』を執筆した綾子さんは、作品の入選を願う一方で、「あなたの御心にかなわないなら、入選させないでください」といつも祈っていたという。
入選後は、原稿の締め切りが迫っても決してあせることはなかった。神が、必ず書くべきことを与えられると確信していた。綾子さんは、『人にはできないが、神にはできる』(マルコ10:27)『信仰は望んでいる事がらを保障し、目に見えないものを確信させるものです』(ヘブル11:1)との信仰に忠実に生きていた。
昨秋、長編小説『銃口』が舞台化され、韓国で上演された。「戦争には加害者も被害者もなく、戦争がすべての人を苦めていた」ことを伝えるこの作品に多くの観客が共感し、日韓和解への確かな希望を与えた。宮嶋さんは、「(三浦綾子の作品が、)信仰によって今もなお語っている」「神に用いられている」と語った。
石井牧師は、綾子さんとの交流を振り返り、その執筆活動の焦点がいつも伝道にあったと証しをした。綾子さんの作品にふれて教会を初めて訪れる人が多いという。「これからは、三浦綾子に続く伝道の文学者が出てきてほしい」と話していた。
講演後に長谷川代表は、「今後は、綾子さんの作品に影響を受けた方が出なければいけない」と、同会への積極的な参加を呼びかけた。