幕末に描かれたとされる「キリスト真人(しんじん)画」が宮城県松山町ふるさと歴史館の藩政時代の宝物展で展示され、話題を呼んでいる。
作品はキリシタン禁制の時代に描かれ、同町に伝わった経緯など不明な点が多く、「幕末のある夜、本堂に投げ込まれた」との言い伝えがあるだけだという。同町の曹洞宗石雲寺所蔵で、普段は公開されていない。
絵は縦39センチ横26センチ、絹地に岩絵の具や墨で彫りの深い子供の顔が描かれている。静岡県内などでも同じ図柄の絵が見つかっており、1930年代に絵を調査した美術研究者が「作者は静岡県西部の横須賀藩お抱え絵師の大久保一丘(いっきゅう)で、少年のキリストを描いた」と発表。松山町の絵もそのうちの一つとされた。
それが東北まで伝わった経緯として、同町ふるさと歴史館によると、伊達藩の重臣で松山町一帯を治めた茂庭氏が一時期、隠れキリシタンをかくまったことがあり、ひそかに持ち込まれた可能性があるという。同展は3月7日まで。
(原文は毎日新聞提供)