世界的に著名な米国の伝道者ビリー・グラハムが、メル・ギブソン監督の話題キリスト教映画『キリストの受難(The Passion of Christ)』を同監督と鑑賞、同映画を絶賛した。ビリー・グラハム伝道協会当局の報道によると、両氏は映画を鑑賞しながら制作に至った動機や証しを語り合う時間を過ごしたという。
グラハム牧師は「キリストが十字架刑に処せられるまでの過程が正確に描かれていて、自分がその時代、その場所にいたようにさえ感じた」と語り、「涙が出るほど感動した。これほど高度な映像技術でキリストの死と復活を扱った映画はこれまでになかった。クリスチャンたちにとって、キリストの死と復活ほど重要な事件はない」と映画の完成度の高さに感嘆したという。
同映画の制作発表以来、ギブソン氏に対して多くの反対と非難があった。AFP通信はこの映画を“米国が宗教戦争を起こす兆し”とまで報道した。
『キリストの受難』はイエス・キリストが十字架上で息絶えるまでの十二時間を描いた映画。しかし作品中、当時のユダヤ人たちがキリストの十字架刑を決めた責任者であるかのように描かれているため、“反ユダヤ人的感情を助長させる内容”として人権団体らから内容の変更や公開中止を求める声も絶えなかった。
カトリック教会も「映画の内容は正確性に欠け、キリストがユダヤ民族に殺害されたということだけを強調している」と責めている。
一方、キリスト教保守派団体の多くはこの映画を高く評価しているようだ。アメリカ福音主義協議会(National Association of Evangelicals)は芸術性も高く優れた作品と好評、保守的なカトリッ ク誌『クライシス』もクリスチャンであれば皆が観るべき優良作品だとしている。
ギブソン氏は米・ノースキャロライナ州シャーロットに住むグラハム牧師を訪問した。同牧師はギブソン氏の信仰の深さと熱意に感動したと伝えている。同氏の中に二千年前の事件を今日と関連させることで、多くの人びとから共感と感動を得たいという気持ちが大きいと伝えた。
グラハム牧師は映画の内容が反ユダヤ的だとする批判についても言及し、「この映画は、十字架で死なれたキリストの犠牲が罪人である私たち一人ひとりのためであったという聖書の教えを逸しなかった。イエスの死は全人類の罪のためであって、特定の民族に責任があるとしてはならない」と強く語った。
同牧師はこの映画でイエス・キリストを演じた俳優ジェイムズ・カビエゼルさんと同氏の妻ケリーさんの信仰心に感動を受けたと付け加えた。両氏はギブソン氏と一緒にグラハム家を訪問した。
グラハム牧師は「目の離せない(ストーリーの)展開に、キリストへの信仰に立ち返る人も多いはずだとした」などと語った。
『キリストの受難』は来年二月二十五日前後に全米で封切りされる予定。日本では同年六月予定。
クリスチャントゥデイからのお願い
皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。
人気記事ランキング
-
「文学的原体験は聖書」 大学院生の鈴木結生さんが芥川賞受賞 父は牧師、教会で育つ
-
NCC靖国問題委、石破首相と野田立憲代表の伊勢神宮参拝に抗議
-
米ロサンゼルスの山火事、教会やキリスト教学校も全焼など大きな被害
-
神がいるのになぜ? キリスト教弁証学からの「悪の問題」
-
聖書のイエス(1)「すべてのものは、この方によって造られた」 さとうまさこ
-
出生巡り苦悩する少女がたどり着いた先は? 「罪のゆるし」描く三浦綾子著『続氷点』
-
救いと滅びとは 岡田昌弘
-
超自然的現象と科学(10)聖書の年代に関するキーワード「ヤラド」(生む)解説2 愛多妥直喜
-
篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(209)聖書と考える「芸能人格付けチェック!」
-
堕落とは人生の深掘りである(その1)
-
「文学的原体験は聖書」 大学院生の鈴木結生さんが芥川賞受賞 父は牧師、教会で育つ
-
神がいるのになぜ? キリスト教弁証学からの「悪の問題」
-
米ロサンゼルスの山火事、教会やキリスト教学校も全焼など大きな被害
-
NCC靖国問題委、石破首相と野田立憲代表の伊勢神宮参拝に抗議
-
「世界迫害指数2025」発表 12カ国を「レッドゾーン」に指定
-
「摂理」教祖の鄭明析氏、懲役17年確定 女性信者らに性的暴行やわいせつ行為
-
今、旧統一教会を知るための3冊 溝田悟士
-
「これほどまで」といわれるような癒やしを求めよう 万代栄嗣
-
日本人に寄り添う福音宣教の扉(213)伝統文化を大切にする日本宣教 広田信也
-
花嫁(17)生き難く ところざきりょうこ
-
「文学的原体験は聖書」 大学院生の鈴木結生さんが芥川賞受賞 父は牧師、教会で育つ
-
今、旧統一教会を知るための3冊 溝田悟士
-
南部バプテスト派出身初の米大統領、日曜学校で長年奉仕 ジミー・カーター氏の信仰
-
神がいるのになぜ? キリスト教弁証学からの「悪の問題」
-
「世界迫害指数2025」発表 12カ国を「レッドゾーン」に指定
-
「摂理」教祖の鄭明析氏、懲役17年確定 女性信者らに性的暴行やわいせつ行為
-
イエスを「真のメシア」と歌ってはダメ? クリスマスキャロルの歌詞巡る対応で賛否
-
2024年のトップ10ニュース(国際編)
-
石破茂首相がクリスマス礼拝に参加、礼拝出席は就任後初
-
2024年のトップ10ニュース(国内編)