オバマ大統領は1日夜、テレビ放送を通じてパキスタンアボタバドの銃撃戦において米特殊部隊がビンラディン容疑者を殺害したことを報告、「ビンラディン容疑者の死は我が国の偉業のひとつとして記されるだろう」と述べた。
米同時多発テロ事件は米国史上最悪のテロ事件と呼ばれるようになり、3000人近い人々が4機の民間飛行機がハイジャックされ、ニューヨーク市のツインタワーおよびバージニア州アーリントンにある国防省に突撃したことにより命を落とすことになった。その報復として米政府は2001年にテロに対する戦争を開始した。オバマ米大統領が2年前に大統領に就任した際、米中央情報局(CIA)長官にレオン・パネッタ氏を起用し、「ビンラディン容疑者を殺害あるいは拘束することが対アルカイダ戦争の最優先事項である」と断言していた。
行動に移すに十分な情報収集・特殊部隊の配備が整った1日、ビンラディン容疑者の潜んでいる敷地を米特殊部隊が標的にして、銃撃戦を行い同氏を殺害した。銃撃戦に際して米国側の負傷者はないという。
オバマ大統領による発表の後、多くの米国民らが殺害を祝った。ツイッターでは「ビンラディンによって多くの死者が生じたことを本当に嘆いている。今日は米軍隊の勝利と犠牲を祝わなければならない」「ビンラディンの死によって生きる機会を得るようになった多くの人々が生じるようになったことを疑いの余地なしに祝いたい。これこそが勝利というものだ」など殺害を祝う多数のコメントが見られる。
一方で米キリスト教指導者らの間には、ビンラディン容疑者殺害のニュースにより注意深く接する姿勢が見られる。米福音主義指導者のブライアン・マクラーレン牧師はテレビに映る米国民の騒ぎぶりを見て、「大学生たちがホワイトハウスの前でお祭り騒ぎをしながら、『USA』と叫んだり、ビールを振り撒いたりしています。イギリスでも同じような光景をテレビで見たことがありますが、このような光景は米国にはふさわしくありません。米テロ事件を起こし、多数の米国人を殺害することに成功して喜んだ首謀者を殺害したことを喜んで祝うというのは、ある種の皮肉ともいえるでしょう。私たちは何も学んでいないのでしょうか、ただ単に暴力の連鎖を巻き起こしているだけなのでしょうか。ビンラディン容疑者の死を聞いたとき、私が最初に発するべき感情は興奮ではなく悲しみ、それも深い悲しみでなければならないと思いました。なぜならビンラディン容疑者の生涯が神様が世界に成そうと思われていた御心を反映するものとならずに終わってしまったからです。私はひとりの人間に非常に多くの痛みを負わせるような世界の仕組み、そして私たちと同様神様のかたちとして創造されたひとりの人間の死によって喜ぶ世界の在り方を理解することができません。ビンラディン容疑者が殺害されることによって、世界はより安全になったのかもしれません。しかし私個人としては、ビンラディン容疑者の死が少なくともこの世界をより美しくしたとは思えません」と述べている。
オバマ米大統領は、対テロ戦争はイスラム教に対する戦争ではなく、ビンラディン容疑者はイスラム教の指導者ではなく、大量殺害指導者であることを強調し、「アルカイダは米国含む多くの国々のイスラム教徒も数多く殺害している。それゆえに彼の死は平和と人権を信じるすべての人々にとって歓迎されるべきものである」と述べている。
一方、ビンラディン容疑者の死によってアルカイダが報復攻撃をしてくる可能性があることも指摘し、「我々は国内外で用心深く行動していかなければならない」と警告した。
米サザンバプテスト教会牧師のエド・ステツァー氏は「主よ、私たちに平和を見させてください。世界がより自由になり、福音が制限されることなく述べ伝えられますように。このことをあなたの課題として用いてください」と述べている。