聖書宣教会(東京都羽村市、会長=鞭木由行牧師)が12日、第48回卒業式を行い、10人の卒業生たちが満面の笑みを浮かべて卒業証書を受け取った。同校の同窓生や卒業生の親類、母教会の関係者ら約200人が参加。キリストの体である教会の奉仕者として旅立つ10人の卒業生たちに暖かいエールを送った。
卒業証書授与式は同校会長の鞭木由行師によって執り行われた。式の後、鞭木師は「きょう、10人の方々を宣教の現場へ送り出します。御言葉の賜物が生涯を通して全うされますように。今の時代、人々は自分に都合の良いことを言ってもらおうとし、真理から耳をそむけ、空想話にそれています。この時代において時が良くても悪くても御言葉を大胆に語ることができますように」と祈り、卒業生たちを激励した。
その後、同校の卒業生で京都福音自由教会主任牧師の鈴木義明師が、コリント人への第二の手紙12章1〜10節とテサロニケ人への第二の手紙1章11〜12節を引用し、「恵みと弱さの狭間で召しに生きる牧会者」と題して説教した。鈴木師は、自身の30年間の牧会生活を振り返って「自分は失敗者」だと評価した。そのうえで、それでもあきらめずに神の御言葉を宣(の)べ伝え続けた自身の生を証し、「外見だけの表面的な牧会者になってはいけない。知識主義、世俗主義に溺れてはいけない。いつもパウロのように弱さを誇り、主の御言葉にならって生きてほしい」と語った。
さらに同師は、今日の時代を「ポストモダニズム」と呼び、「インターネットなどのメディアが急速に普及・発展し、スピード感と変化に富み、価値観が多様化されたこの時代において、どのように神の御言葉を述べ伝えていくべきかが大切だ」と卒業生らに訴えた。また「牧会者は孤独になってはいけない」と述べ、同校の出身者や仲間たちと助け合い、連帯感を持って宣教に励むように呼びかけた。
式では在校生らによる賛美合唱が披露されたほか、同校を卒業したOBや他の神学校からの祝辞も発表された。式典後には卒業生たちの証の場が設けられ、卒業する10人はそれぞれ同校での生活を振り返って数々の思い出を証しし、教師陣、父母や親族ら、母教会の仲間たちに対する感謝の気持ちを述べた。
定年退職後に同校に入学した卒業生の一人は、「自分が卒業できるという意識はなかった。前日に学んだことを翌日には忘れてしまったりした。いつもギリギリだった。それでも妻が支えてくれたし、家族が協力してくれた。仲間たちが励ましてくれた。母教会の方々など、たくさんの人が祈ってくれた。私は土の器ですが御霊様が助けてくれた」と証しした。また4年課程を卒業した男性は、「私は幼い頃からクリスチャンだったので聖書を知っているという自負があった。しかし、ここでの学びを通して神の御言葉は無限大であることを悟った。学べば学ぶほどその深さを思い知らされた。見るもの聞くものの全てが新鮮で、まるで赤子のように学んだ。寮生活、掃除の奉仕、路傍伝道・・・その全てが神の愛を伝えるための真剣な奉仕だった」と語った。
今回同校を卒業したのは、聖書神学舎本科4年課程から4人、3年課程から3人、教会音楽科から1人、シニアコースから2人の計10人。卒業生たちは、春から新しい奉仕先で牧会活動に従事する。