【CJC=東京】古代イスラエル人はワインだけでなくビールも飲んだ、とザビエル大学(米ルイジアナ州ニューオーリンズ)の聖書学者マイケル・ホーマン氏が『聖書考古学レビュー』9・10月号で発表している。「ワインも飲まなかった禁酒のナジル人など例外はあるが、古代イスラエル人は、堂々とビールをしかも大量に飲んでいた」と言う。
英語訳聖書では、例えば欽定訳で「強い、酔わせる飲み物」と訳出されている個所は、元のヘブライ語は「シカル」。それを「リカー」「強い飲み物」「発酵した飲み物」などと“誤訳”して来たので、言語学的、考古学的調査に基づけば「ビール」と訳せる、とホーマン氏。
古代イスラエル人がビールを飲んでいたかどうか、見解がまちまちなのは、イスラエルの出土品の中からビール製造の痕跡を発見、確定することの困難さが理由にあげられる。
ビール醸造に使われた道具は、パン製造にも使われたものと類似している。古代イスラエル人は、大麦麦芽や小麦のケーキを焼くように、それを水の中に置き、酵母を加えることで、ビールを作った。
さらにこれまで100年以上にわたって、学者がビールを飲むことは“粗野な”行動として来たために、イスラエル人のビール嗜好が無視されて来たのだ、と言う。「これが、圧倒的な証拠に反して、イエスは発酵していないブドウ汁を飲んだと信じたいキリスト者と同様に、聖書の中の英雄をビールを飲む世界とは切り離すように聖書学者をも誘導してきた」とホーマン氏。
聖書は節度を求めているにしても、ビールはイスラエル人の主食だった、と言う。ビールは、穀物のカロリーを増大し、必須ビタミンを含み、汚染された水を殺菌する「スーパー食品」なのだ、とホーマン氏。
「あらゆる階層の男も女も、子どもでさえもビールを飲んだ。古代イスラエルの消費量は、その宗教と公式に結び付いて奨励され、容認された」と言う。