【CJC=東京】パキスタンを襲っている洪水被害は、モンスーン(季節風)がもたらした豪雨によるもので、なお拡大を続けている。自宅などを失い避難した住民は北部から南部にかけ1700万人以上に達したと見られる。下旬に入ってさらに被災者は100万人増加した、と国連緊急援助調整官室は明らかにした。
新たな避難を強いられているのは南部シンド州の住民。被災者は食料や飲料水が供給される避難キャンプに収容されているが、その数は毎日増えているという。
北部スワット渓谷地帯では、救援活動していた3人が、反体制勢力『タリバン』と見られる暴徒に殺害され、負傷者も出ている。襲撃は8月24、25の両日行われた。家屋を失った人は2000万にも上る、とされる中でパキスタン政府が進めている救援活動を阻止しようとしたもの、と豪カトリック教会のマカロック神父(コロンバン会)がカトリック系メディアに語った。
テロリスト集団は、略奪や店舗、住宅を砲撃、地域支配を狙ったものと見られる。
「このような襲撃は目新しいものではない。長年にわたって、パキスタンのキリスト者は度重なるタリバンの襲撃を恐れ、受けた被害に耐えるか、今回のように殺されるかだった。自らを守れる道はないのだ」とカトリック・ミッションのマーティン・トーラン代表は語った。タリバンや関連過激派は、スワット渓谷で中央・地方政府の高官を襲撃するだけでなく、国外からの援助活動家やキリスト者を、政府転覆の手段として狙い撃ちしている、と言う。