太平洋戦争が始まって約半年後の1942年(昭和17年)6月26日、当時の日本基督教団第6部・9部に所属していた全国のホーリネス系教会の牧師ら100人あまりが、治安維持法違反の容疑で一斉検挙された(「昭和の弾圧」事件)。そのうち6人が獄死、1人が釈放後まもなく死亡。翌1943年4月には、治安維持法違反により約350の教会が解散に追い込まれた。
同年獄死した菅野鋭・横浜教会(現・日本ホーリネス教団横浜教会)牧師は、「天皇は罪人なのか」との係官の質問に、「天皇が人間であられる限り、罪人であることを免れません」と答えていたことが当時の尋問調書に記録されている。
信仰の勝利から68年。事件を風化させず、その迫害に耐えた信仰者たちに学ぼうと、今年で19回目となるホーリネス弾圧記念聖会が6月27日、東京都新宿区のウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会で開催された。第2部の集会で東京聖書学院名誉院長の小林和夫氏は、「御言葉は語るものと聴くものとがあって命となって生きてくる」と、信仰継承の必要を訴えた。
聖会は、弾圧50年の1992年から関係諸教会の有志によって始まった。 弾圧の歴史的事実を風化させないために可能な限りの証言を聞くこと、また弾圧をできるだけ客観的に検証し、キリスト教の歴史上に起こった迫害、弾圧などに目を向けつつ、今を生きる信仰を相互に培うこと、さらに終末に耐えうる教会形成と福音宣教に資すること、などを主な目的として、ホーリネス系諸教団が毎年合同で開催している。
小林氏は集会で、神の言葉を語った諸先輩の信仰を「見倣いなさい」(ヘブライ13:7)と勧める聖句を強調し、「(諸先輩の信仰が)ただの記憶でおわってしまうことはないか」と会衆に問いかけた。小林氏は、イエスが「信仰の創始者また完成者」(ヘブライ12:2)であることを強調し、「イエスこそが私たちの心の中に信仰を形作ってくださる」と諸先輩の受け継いだ信仰を説いた。