神奈川県の産婦人科医会が主催する「第3回おぎゃー献金 愛のコンサート」が3日、クイーンズスクエア横浜で開かれ、横浜コミュニティチャーチゴスペルラヴァーズ(以下、YCCゴスペルラヴァーズ)によるゴスペルコンサートが開催された。コンサートは午後3時、午後4時30分、午後6時の3回に分けて行われた。会場に並べられた椅子は開演前から満席となり、二階席や買い物途中の方々を含め約1500人が、「全ての赤ちゃんを幸せに」という願いをこめたゴスペルに耳を傾けた。
「おぎゃー献金」は、「全ての赤ちゃんは幸せでなければならない」という考えに基づいて障害を持って生まれた赤ちゃんを支援し、その研究を助ける支援活動。コンサート会場では、訪れた観客らにおぎゃー献金への協力を願って振込み用紙がついたパンフレット500枚が配布された。また、インターネットや産婦人科の窓口の献金箱から献金する方法がスタッフの口から伝えられ、多くの人々の賛同を集めた。
「おぎゃー献金」が全国運動として発足したのは1964年。鹿児島県大口市で産婦人科を開業していた遠矢善栄博士が、近くに住む重症心身障害児の三姉妹を診察したことがきっかけだった。遠矢博士は心身障害の子どもを持った母親の大変さを目のあたりにし、「これではお母さんの負担が大きすぎる。なんとか助けてあげることはできないだろうか」と心配し、姉妹が入ることができる施設を模索した。しかし、当時軽症者を除いて重症心身障害児収容の道が固く閉ざされていることを知り、ショックを受けたという。
そこで遠矢博士は、障害を持って生まれてきた子どもたちに少しでも幸福を分け与えたいと考え、健康な赤ちゃんを産んだ母親やそれに立ち合った医師や看護婦たちに献金を呼びかけた。この提案を日本産婦人科医会が受け入れ、「おぎゃー献金」が誕生するに至った。その後は全国各地で様々なキャンペーンが行われ、たくさんの献金が集められている。
YCCゴスペルラヴァーズによる「愛のコンサート」は今回が3回目となる。YCCゴスペルラヴァーズのメンバーの一人が大病を患った際に、見舞いに訪れたクワイア仲間がゴスペルソングを歌った。その歌詞から慰めと励ましを受けていた姿が、偶然にも担当医だった「おぎゃー献金」の実行委員の医師の目に留まり、「おぎゃー献金」のコンサートを担当するようになったという。
「おぎゃー献金」によって集められた献金は、心身障害児のための施設や心身障害児に関する研究を行っているグループ、公立の福祉施設、地域の作業所やハンディを持った子どもの親たちが自主運営している無認可の施設などに補助金として贈られる。これまでに、東京都の重症心身障害児施設島田療育センターに車いす自動リフトつきマイクロバスが贈られたほか、福島県の施設にはプレイランドが贈られた。他にも機能訓練機器、簡易浴槽、遊具、新生児救急車、車いす、パソコン、施設の修繕費など、各施設の要望に合わせて、子どもたちがより幸せに生きるために様々な形で用いられている。