欧州連合(EU)は、迫害を受けるキリスト教徒の権利保護を目的とした作業部会を立ち上げた。作業部会は今後、イスラム圏などキリスト教徒が少数派となる国で発生するキリスト教徒に対する迫害への対処をまとめた手引きを作成し、加盟各国の大使館へ配布するなど活動を進める。
同作業部会立ち上げに中心的に関わったイタリアのフランコ・フラティーニ外相は、「世界のあらゆる場所でキリスト教徒が自らの信仰を守ることができる権利を持つということに関心を向ける、同じ志を持った国々によるグループを今回立ち上げることができた」と、同作業部会設立に喜びを示した。
一方、「キリスト教徒はこれまで、政治的機構による強力なサポートを得られるような政治団体を持ってこなかった」と述べ、EU加盟国が関わる同作業部会の重要性を語った。
フラティーニ外相によると、今年年内にも宗教の自由に関する国際会議がイタリアで開催される予定で、イタリアは今後、国連総会でもキリスト教徒の権利保護を求めた決議案を提出すると言う。
米ワシントンDCに本部を置くキリスト教人権監視団体「ICC」は、同作業部会設立について報じ、ICC会長のジェフ・キング氏は、「迫害に直面する少数派キリスト教徒の保護を目指すEUの働きを歓迎する」と語った。
ICCによると、現在世界では3億人のキリスト教徒がその信仰を理由に困難な生活を強いられている。キリスト教徒に対する迫害は、イスラム教国家で最もひどく、続いて共産主義国家、ヒンズー教国家などで多いという。
キング会長は、「キリスト教徒への迫害は、主にイスラム圏で増加している。我々は、国際社会が宗教の自由促進へ向けたイタリアのこの取り組みに参加するよう強く求める」と語った。