およそ2万2千人の宣教師を174カ国に送り出す世界屈指の宣教大国の韓国だが、その宣教への情熱がどのように彼らの間で培われてたのかを、韓国バプテスト連盟の海外宣教局の会長であるイ・ジェキョン氏が、8つのポイントで簡潔に説明している。(第1回から読む)
前回、前々回と「①迫害下における教会の忍耐」「②祈りと従順の優先」「③海外渡航禁止の解除」「④神が開いた二つの扉」「⑤海外での短期奉仕を重視する教会」「⑥押し出される牧師たち」までをカバーした。そして以下は、イ氏の説明の最後の部分、7番目の8番目のポイントとなる。
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⑦教会に課題を与える
韓国のことわざに「虎は死んで毛皮を残す。人は死んで名を残す」とあります。この考え方は、韓国の地域教会にも見られる傾向です。健全で強い教会であれば、自分たちの教会から宣教師を派遣し、世界宣教に自分たちの足跡を残さなければならないと考える教会もあります。
宣教師を送った教会は宣教師を送ったことに誇りを持ち、送れなかった教会は誰も送る余裕がなかったことを恥じているのかもしれません。さらに、派遣教会と宣教師は強い絆で結ばれています。宣教師が助けを必要としているときはいつでも、派遣団体よりもむしろ派遣教会が積極的に責任を負うのです。
⑧ベビーブーム世代が「シルバー宣教師」として奉仕
最後に、韓国人は定期的に、定年退職した「シルバー」宣教師を宣教地に派遣しています。1955年から63年の間に生まれた韓国のベビーブーム世代は、韓国の総人口7100万人の約15%を占めています。毎年、約100万人が定年退職しています。その中には多くの忠実なキリスト教徒がおり、その多くは定年後に宣教師として第二の人生を送りたいと考えているのです。
神の計画と摂理により、韓国の教会は過去数十年間、宣教活動に精力的に従事することができました。その結果、神は、極度の貧困、天然資源の不足、独裁政権、内戦、国家破綻など、さまざまな困難を克服した韓国の物語を利用して、世界中のキリスト教徒の宣教活動を刺激してきたのです。
私たち韓国の歴史はまだかなり新しいので、国内の世俗化や他国からの脅威に直面する中で、学ぶべきことは、まだまだたくさんあるでしょう。しかし、私たちが神に目を向ける限り、神は韓国の教会を通して偉大なことを成し遂げ続けると確信しています。
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東西冷戦構造の先駆けとして勃発した朝鮮戦争により、ことごとく国内を疲弊させた韓国は、当時世界最貧国の一つとして数えられた。そんな国が、数十年後に、世界屈指のキリスト教国になるなどと、一体誰が想像しただろう。そして今では、2万人以上の宣教師を派遣する宣教大国なのである。彼らが通らされた悲哀の道は、まさに福音の希望がどれほど力強いものなのかを立証する道のりに他ならない。2000年代になって教勢が伸び悩んでいるといわれるものの、その存在感は衰えることを知らない。韓国の教会が、世界宣教を牽引する存在として、その役割を全うするよう祈っていただきたい。(続く)
■ 韓国の宗教人口
プロテスタント 35・3%
カトリック 9・2%
仏教 23・7%
儒教 2・7%
イスラム 0・3%
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