聖書の全言語翻訳に取り組む宣教団体ウィクリフ聖書翻訳協会(東京都杉並区、永井敏夫総主事)の国際連合体、国際ウィクリフは、母国語訳聖書が存在しない10億人のための聖書翻訳達成時期を、これまでの目標より100年縮めるというプロジェクト「ビジョン2025」にとり組んでいる。
国際ウィクリフと一緒にプロジェクトを指揮するのは、米国の南部バプテスト連盟国際宣教委員会(Southern Baptist International Mission Board, 以下IMB)。同委は、世界各国に派遣されている宣教師に協力を呼びかけて翻訳と宣教師派遣を必要とする地域を検索、集められた情報を元に、翻訳家の召集、宣教師派遣を行う。
同連盟は今年4月に76人の長期宣教師を派遣したほか、先週もバージニア州の教会で45人を長期宣教師に任命した。同連盟は、来年以降も今年を上回るペースで宣教師を派遣する意向を明らかにしている。
3000の民族が母国語で神様の御言葉を聞くことが出来ない今日、従来のペースで作業を進めた場合、全言語への翻訳達成は西暦2150年頃になるとされている。
IMBのウィリス副会長は「世界中の全ての人が愛を伝え、涙と共に語り、感情を大胆に表現し、そして感謝を告白する母国語で御言葉を与えられるべき」と述べた。
世界全土に福音がのべ伝えられるためには、残された3000民族が母国語で書かれた聖書を手にする必要がある、とウィリス氏は話す。当プロジェクトの目標である10億人のうち、4億人の言語への翻訳はかつて着手されたことがない、と国際ウィクリフの取締役ウォターズ氏は明かした。
ウォターズ氏はビジョン2025が採択された1999年のウィクリフ国際会議で、「私たちは日常生活の中で世界宣教の大きな夢に思いを馳せるが、それらを到底叶わぬ夢としてしまう。しかし収穫の主によれば不可能なことは無い。そこで私たちは互いに協力し合い、主の栄光のためにこの大きな夢に立ち向かうのだ」と力強く語った。
日本ウィクリフによると、国際ウィクリフに所属する5000人の会員によって、これまでに新約聖書の500言語への翻訳がなされ、現在も1400言語への翻訳が進行中。CBS(Chronological Bible Storying, 聖書の全体の流れを「物語」で伝えること)や映画「イエス」などの作品の完成の促進に大きく貢献するなど、彼らの貢献はこれまでにも注目されてきた。
各地の宣教師は、聖書の御言葉を生まれて初めて聞いた人々は、自分の人生が180度変わっていくのを感じたと笑顔で証していると報告している。ある民族が聖書を受け取ったとき、彼らの統領は歓喜の声と共にこう叫んだと言う。「神様は、わたしたちの言語でも語られるのか」
ウォタ-ズ氏は、良き働き手となる宣教師が与えられ、このプロジェクトを通して世界の全人類の手に真実の御言葉がのべ伝えられるように、世界中のクリスチャンに祈りを要請している。