2011年のアラブの春をきっかけに始まったシリア内戦以来、数百万人が命を落とした。命を落とさなかった者たちでも、合計1100万人が難民となったり近隣諸国に移住したりして故郷を離れた。多くの難民が欧州に逃れ、数千人が地中海を渡ろうとして溺死したのだ。
人々には悲劇的な一連の出来事だが、一方でそれは教会にとってある種の機会を提供している。シリア人は世界で10番目に福音が伝えられていない人々を形成しており、難民の90%以上はイスラム教徒である。この難民危機に対して、キリスト者はどのように戦略的に対応すればよいのだろうか。以下に4つの点を挙げる。
1. 希望の物語(証し)を分かち合う
難民やイスラム教徒の間で神がどのように働いておられるかについて、現場から直接聞いたインパクトのある物語は、彼らに肯定的な変化を起こし、困っている人々と関わりを持つことを助ける。このような物語はこの戦略的ミッションに教会の参加を促す。また、IS(イスラム国)が猛威を振るっていたとき、恐怖をあおるようなプロパガンダやメディア報道が続いていたが、強力な物語はそのようなプロパガンダに対抗するのだ。
2. 実際的な援助と慈善を提供する
中東や欧州各地には、難民キャンプや経由地滞在中の移民に援助を提供するキリスト教系の小さな取り組みが数多くある。
3. イスラム教徒に「عيسى المسيح(イサ・アル=マスィーフ、イエス・キリスト)」を見つけ、それに従うよう勧める
これには多くの方法があるが、難民へのモバイルデバイスを用いたミニストリーは非常に効果的なアプローチだ。スマートフォンは彼らにとって最も貴重な財産である。そしてこれは、移動中や亡命手続き中の者に福音を伝える最良の方法でもあるのだ。亡命センターでは何カ月も待たなければならない。この間、彼らには読んだり、聞いたり、見たりする時間が豊富にある。
4. 自国の文化で福音化運動を起こすために、現地の人を奉仕者として訓練する
イエスのメッセージを受け取る準備ができている「平安の子」は、どの地域や民族にもいる。彼らを訓練することで、他の人々を弟子にし、イエスを信じる者のグループやシンプルな教会を建てることができる。多くの場合、このような改宗者たちがイスラム教徒の間で「福音化運動」を起こし、地域社会を内側から変えていくのだ。
シリアやウクライナなどの難民問題は、今も継続する大きな国際問題である。それと同時に、このような境遇を通じてイエスに出会った人々が数多く存在する。紛争や戦争は人間によってもたらされる最悪の災禍の一つだが、そのような中にも希望がある。そう、キリストの奉仕者たちは悩める彼らの実際の必要に応えながら、人間の根源的なニーズである福音を提供しているのだ。そして多くの場合、平時には福音に見向きもしなかった人々が、人生の谷間で福音を信じて主イエスに出会っている。
難民たちへの奉仕活動を通じての宣教がなお結実し、拡大するよう祈っていただきたい。
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