ジョンは夜遅くに空港に到着した。中東のある国で、密かに信仰を守っているイエスの信者と無事に会うまで、彼には超えなければならないもう一つのハードルがあった。
彼は税関を通過しなければならず、役人が手を振って通過させてくれることを願っていた。しかし、残念ながらそうはならなかったのだ。
税関職員はジョンにスーツケースを開けるように求めた。職員はジョンの特別な「プレゼント」を幾つか開け、これは誰のためか、どこで売りたいのかと聞いてきた。これらの「プレゼント」はもちろん聖書だった。ジョンは聖書の密輸人だったのだ。彼は、聖書が歓迎されない国にそれを持ち込もうとして捕まったのである。
聖書が禁じられている国に聖書を持ち込む働きは、宣教団体のオープンドアーズが設立された当初から行われてきた。同団体の創設者であるブラザー・アンドリューと彼の創設チームは、定期的に鉄のカーテンの向こう側に聖書を持ち込んでいた。聖書を手に入れることがいまだに難しい地域に聖書を持ち込むことは、今でもオープンドアーズの活動の一部となっている。
ブラザー・アンドリューは、共産主義時代のユーゴスラビアの国境検問を通過して聖書を持ち込もうとしていたとき、「検問職員の見る目が閉ざされますように」と祈った(2022年11月19日世界宣教祈祷課題参照)。ブラザー・アンドリューのこの伝説的なエピソードを知っていたジョンも、おそらくそれに似たようなことを祈ったことだろう。しかし、神はいつも同じように祈りに答えてくださるわけではなかったのだ。
税関職員は、ジョンがスーツケースに忍ばせていた50冊の聖書を全て没収した。ジョンは警察署に連行され、そこで拘束され、夜通し尋問された。彼は税関職員と地元の警官に休みなく尋問されたのだ。
警官の一人は、ジョンが母国に強制送還されるだろうと告げた。しかし、その警官はジョンに「君は他の人とは違う」と言って、警官の父親が重い病気にかかっていることをジョンに打ち明けた。ジョンはためらうことなく、その警官の父親のために祈らせてほしいと尋ねた。
「彼は同意し、私はその人のために祈りました。その後、私は自分の証しを彼に話し、イエスが私にとってどれほど大切な方なのかを説明しました。私はポケットから小さな新約聖書を取り出し、聖書の後ろに印刷されていた『救いの計画』を読んだのです」
信じられないことに、ジョンの逮捕を監督していたその警官は、イエスについて知るようになり、彼はイエスを救い主として受け入れたのだ。そして、その警官はジョンの問題を解決することを申し出、聖書をスーツケースに戻し、飛行機まで案内してくれた。
ジョンは「それは私が計画していたこととは違っていました。神はこの一人の魂の救いのために全てを変えようと決心されたのです。それに関して、私はただ主が御業をなされることを見ていることしかできませんでした」と語り、主の導きに感謝した。
今も聖書が禁じられている国が多くある。そのような国々に神の御言葉が届き、聖霊が救霊のために強く働かれるように祈っていただきたい。
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