オーストラリア南東部ビクトリア州で発生した森林や原野の大規模火災で、連邦警察当局者らは11日までに、犠牲者が180人を越えたと述べ、200人を超える恐れも出ているとした。この惨事を受けて、オーストラリアの教会指導者らも、火災によってもたらされた被害の大きさが信じ難いほどのものだとし、悲嘆の声を上げている。
首都メルボルンのフィリップ・フレイヤー大主教は、「命を失った人々、病院で治療を受けている人々、家族や友人についての知らせを待っている人々、家を失ってしまった人々、そしてこの火災に恐怖するすべての人々のことを思う」と述べ、被災者へ対する思いを表した。しかし、「(火災による)財産の喪失は想像を絶する。自宅、仕事、すべての商業地域が失われてしまった」と被害の大きさを嘆いた。
11日までの発表によれば、今回の火災で負傷者は500人以上、焼失した家屋は約1000棟に上り、36万5000ヘクタールで被害が出ている。共同通信によれば10日までに現在でも同州の25カ所で火災が続いており、完全な鎮火までには約3週間かかる可能性もあるという。現在4000人の消防士が出動して消火にあたっている。
フレイヤー大主教は被害の大きさを憂える一方、「我々のこの深い悲しみ、痛み、絶望の中でも、神が我々と共におられることを絶対に忘れてはならない」と励ましの言葉を語った。
また、シドニーのピーター・イェンセン大主教は教会に対して、被災者らのための緊急の祈りと実際的な手助けを要請。「この悲劇の大きさは恐ろしいものだ。我々は共同体の一部が苦しむ時、彼らと共にすべてのものが苦しむ」「悲しみの中にいる人々と一体となるために、我々は親切に助け、必要なものを支援し、祈ることを求められている」と語った。
一方、今回の大火災については放火の疑いも出ている。同州のブランビー知事は11日、地元テレビに出演し、最近発生した新たな火災のうち、多数が放火である可能性が高いと述べた。これについては同州警察も10日の記者会見で、「放火犯の逮捕に自信がある」などとコメントしている。