ウクライナの南西に位置する小さな隣国モルドバは、この100年で5回も大国に支配された歴史を持つ。そのためモルドバの人々は、ウクライナの人々に親身に同情を寄せている。
実はモルドバも国内に、東部のウクライナとの国境とドニエステル川の間にある細長い地域に、人口47万人の分離国家の沿ドニエステル共和国を抱える。このあまり知られない国連未承認国家もまた親ロシア地域で、ここに駐屯していたロシア軍部隊が、ウクライナ領内に侵入したことが報道され、知られるようになった。一部では「ウクライナの次はモルドバか」とささやかれているように、モルドバもまたウクライナの東部地区と同じような火種を抱えているだけに、決して他人事ではないのだ。
UNHCR(国連高等難民弁務官事務所)の4月20日の発表によれば、ウクライナからモルドバに逃れて来た難民の数は42万5千人に及んでいる。このうちの3割の人々が、紛争が終わるまで同国に留まり、残りは同国を経由して他の国を目指す。
国境には何千人ものモルドバ人がボランティアに集まり、難民を自宅に受け入れ、食料、薬、衣服を提供し、さまざまな支援に携わっている。教会は、数千人ものウクライナ人の移動を助け、家族や教会の建物、キャンプ場など、教会に属する施設に受け入れている。
すべての国境警備隊にはケアポイント(テント)があり、コーヒー、紅茶、サンドイッチ、スープ、パン、毛布、衛生用品などが無料で提供されている。世の光福音教会は、書類作成を手伝い、祈り、24時間のホットラインを開設し、2週間で千人以上のウクライナ人を支援した。それ以外にも幾つかの教会が同様の奉仕をしている。
欧州で最も貧しい国の一つであるモルドバの兄姉たちもまた、犠牲を惜しまず隣人への愛を示している。彼らの奉仕が、物心両面で苦しむ難民らを助け、救霊の実を結ぶよう祈っていただきたい。
■ モルドバの宗教人口
正教会 61・7%
プロテスタント 4・3%
無宗教 21・6%
イスラム 5・0%