イスラエルのナフタリ・ベネット首相は、侵攻の始まる前の2月13日、ウクライナ在住のユダヤ系の人々に同国への帰還を促し、できるだけ早く退避するよう呼び掛けた。
首相は「ウクライナにいるユダヤ人に再度呼び掛けます。帰ってきてください。不必要なリスクを冒すべきではない。帰りたいのに、帰れないような状況になる前に。決断の責任はあなたにあります。できるだけ早くウクライナを離れ、家に帰ることだ」と呼び掛けた。
すでに数万人のウクライナ・ユダヤ人らがアリア(ユダヤ人のイスラエルへの帰還)を果たしている。2021年にはおよそ3100人のウクライナ・ユダヤ人らがアリアを果たしたことに比べるなら、膨大な数となっている。現在ウクライナには数千人のユダヤ人がいるという。
メシアなるイェシュアを信じるユダヤ人の中には、旧共産圏からの帰還者が決して少なくない。特に、ソ連崩壊後には、およそ100万人のユダヤ人が旧ソ連地区から帰還した。このユダヤ人の中には、ロシアもそうだがウクライナからの帰還民が多くいた。イスラエルでは交通標識や選挙の政見放送にロシア語表記が付く。これは、この時期に帰還した民の占める割合が、決して小さくないことを示している。
このように、イスラエルはロシアにもウクライナにも関係の強い国だ。それで、自身もユダヤ系ウクライナ人であるゼレンスキー大統領はイスラエルに対し、ロシア・ウクライナの仲裁に立ってほしいと公言したのだ。
これらの旧ソ連からの帰還者は、無神論教育の徹底から、ユダヤ教へのこだわりも比較的弱い。そのため、彼らはキリスト教に対するユダヤ人独特の拒否反応も弱く、福音に対して心が開かれている傾向が強い。彼らの中にメシアを信じる人々が決して少なくないのはそういうわけだ。これらのメシアニック・ジューのイスラエル国内での存在感は、日ごとに増しつつある。
ウクライナにおける紛争の終結と平和を求めるとともに、多くのユダヤ人が帰還し、メシアなるナザレのイエスを信じることができるよう祈っていただきたい。
■ イスラエルの宗教人口
ユダヤ教 75・4%
イスラム 16・7%
プロテスタント 0・4%
カトリック 1・0%
英国教会 0・02%
正教会 0・6%