昨年11月以降、ロシアはウクライナとの国境付近に13万人近い兵力を増強しており、西側諸国も含め世界的に緊張が高まっている。13万の兵力は全ロシア地上兵力の3分の1に当たり、その本気度がうかがえる。
ロシアは、ウクライナ首都キエフの大使館から、すでに数十人もの政府関係者を帰国させている。米中心の西側諸国は、2014年のクリミア併合以降、経済制裁を課し、ロシアを強くけん制している。ロシア側としては、これ以上のウクライナの西側接近とNATO(北大西洋条約機構)加盟だけは絶対に避けたい思惑があるのだ。
そんな中、台湾海峡を挟む中国情勢が緊迫の度を増しているため、ロシアは、米国は対露対中の二正面作戦を取れないと踏んで、ウクライナ国境に兵力を集中させたのだろう。
国家間の外交では各国の思惑が入り乱れ、不安定な情勢が続いている。しかし、ウクライナの牧師や指導者たちはこのような困難な状況の中でも、主が望まれる務めを忠実に果たしている。そう語るのはスラブ福音教会のエリック・モック氏だ。彼は次のように語った。
「ウクライナの信者らは、情勢の不確実性からくる不安や恐れは人々が福音に心を開くきっかけになると信じています。年配者はソ連時代の迫害を記憶しています。その時代、彼らは自分たちを迫害する者のために愛をもって祈りました。彼らは忠実に仕える人たちでした。もし今年、紛争の危機が高まるなら、ウクライナの牧師たちは、それは福音宣教の機会の高まりになると確信しています。あらゆる苦難は、イエスを証しする機会なのです。これは彼らの一貫した姿勢です。ある牧師は、感染症のために足の一部を切除したのですが、手術の最中、主が執刀した外科医に福音を分かち合う機会を与えてくださったと、興奮気味に証ししてくれました。彼にとって足の一部を失うことは、福音を分かち合うことに比べれば何でもないのです」
ウクライナの兄姉たちは、私たちが平和の中で失ってしまった信仰の本質部分を堅持しているのだ。彼らが、患難や苦しみを粉砕して余りある福音の力を、さらに多くの人々に指し示すことができるように、またこの地の緊張が速やかに緩和され、武力衝突および戦争が回避されるよう祈っていただきたい。
■ ウクライナの宗教人口
正教 61・2%
新教 5・8%
旧教 10・1%
イスラム 1・1%
ユダヤ教 0・2%
無神論 19・5%