【CJC=東京】カトリック修道会イエズス会のニューヨーク管区は、アベリー・ダレス枢機卿が12月14日朝死去した、と発表した。90歳。
長老派信徒で教会でも指導的立場にあり、後にドワイト・アイゼンハワー大統領下で国務長官を務めたジョン・フォスター・ダレス氏の息子としてニューヨーク州オーバーンで1918年8月24日生まれた。
ハーバード大学在学中の40年にカトリックに改宗した。第二次世界大戦では海軍に従軍した。46年にイエズス会に入会、10年後司祭に叙階。60年にローマの教皇庁立グレゴリアン大学で博士号を得た。ウッドストック大学、アメリカ・カトリック大学などで神学を教え、88年からこの4月までフォーダム大学の「宗教と社会に関するローレンス・J・マギンリー教授」を務めていた。
2001年に教皇ヨハネ・パウロ二世によって枢機卿に任命された。司教ではない神学者としては米国で最初。神学関係の論文は750を超し、著書も「弁証学の歴史」など多数。
海軍士官時代に発症したポストポリオ症候群に悩まされ、車いす生活を送った。話すことが出来なくなっても、読書を欠かさず、コンピュータのキーをゆっくりたたいたり、メモ帳に書き付けることでコミュニショーンを果たした。
4月にフォーダム大学教授を辞任した際、「90歳になっても、生産的に働くことができた。麻痺が進み、話すことができなくなるにつれ、福音書の中に出てくる多くの麻痺患者や言語障害者と自分が同じだということが分かるようになった。私が受けた、愛のこもり練達した世話と、そしてキリストにある永遠の生命への希望とに感謝する。神が今、弱さの間に私を召されるなら、私は、神の力が弱さにおいて完全にされることをよく分かっている。“神の名に祝福あれ!”」と記している・