世界最大のメソジスト教会である韓国・光林教会(教会員数9万人)の指導者、金ソンド博士が11月30日、東京・淀橋教会の新会堂完成10周年を記念して同教会で開かれたセミナーで講演し、日本の新しい時代を切り開く21世紀の教会のビジョンについて語った。
金博士はまず、他の宗教にはないキリスト教だけが持つ特質、つまり、▽神が人としてこの地にこられたこと(インカネーション)、▽人間の罪ゆえに神ご自身が血を流してその罪をすべて赦してくださったこと(贖罪)、▽死んでよみがえられたこと(復活)、▽神が人とともにいまも生きておられること(同居する神)の4つを挙げ、日本人特有の多元的な宗教感覚に流されない、キリスト者としての信仰の確信を持つよう訴えた。
また、マタイによる福音書16章16〜19節にあるペテロの信仰告白から、教会は「生ける」(16)キリストがともにおられる「生きている共同体」(Living Community)であり、「イエスが生きておられることを見せるところが教会」だと語った。
金博士は、教会が「ビジョン(vision)」を持つことが重要であると強調。「教会成長のビジョンを持つ信徒のいる教会は成長する」と語り、牧師だけでなく信徒一人ひとりに「私の教会は成長する」という明確なビジョンが必要なことを訴えた。
また、「絶対的な価値観を持つ教会に信頼が生まれる」と語り、すべてを相対化するポストモダンの考えに対し、信徒が「教会の絶対的な価値観」に生き、それを保持することが重要だと強調。「教会の価値観と牧師の価値観、信徒の価値観が一緒になったとき、教会は成長する」と語った。
金博士は、「教会は慰めを与える場所」「治癒のコミュニティー」だと語り、社会の「避難所」、また「治療の場」としての教会の役割を強調。さらに、人々が求める▽衣食住、▽安全、▽愛、▽「生きる意味」、▽自己実現の要求に教会が適切に対処すべきだとし、特に、「『私が誰なのか』、その質問に対する答えが教会になければならない」と語った。