日本カトリック司教協議会は、7月8〜10日に開催された2019年度第1回臨時司教総会で承認された聖歌の創作などに関する指針「新しい歌を主に歌え―聖歌の創作と認可および公表に関する指針―」を公布した。
指針は、ミサなどの典礼で用いる式文を歌唱するための旋律のほか、典礼や信心行為において歌われるために作詞作曲される一般賛歌(会衆用賛美歌)に関するもの。典礼暦年中の主日、祝祭日、週日のミサ、諸秘跡や準秘跡の執行を伴う典礼、聖務日課(教会の祈り)など、小教区や修道院の共同体が参加する公的性格を帯びた祭儀で歌われる聖歌の創作を促すために、新しい作品の認可と公表の手続きに関する規則を明示している。
日本カトリック司教協議会は、2002年3月にローマ教皇庁から公布された『ローマ・ミサ典礼書』規範版第3版に基づき、現行の『ミサ典礼書』の改訂作業を開始。14年5月に教皇庁典礼秘跡省から、日本の教会における適応を盛り込んだ「ローマ・ミサ典礼書の総則」(改訂訳)の認証を受けた。15年11月からは、従来のミサの式次第を用いつつ、所作の大部分に関しては、認証された新しいミサの総則に基づく典礼が実施されてはいるものの、一日も早い「ミサの式次第」などの認証が待たれている。
日本カトリック典礼委員会は、「ミサの式次第」認証後に新しい式文を歌唱するための作曲の在り方を念頭に置きながら、同時に、ミサの式文以外の分野でも新しい聖歌の創作を促すために今回の指針を作成した。
指針では、「キリスト信者が自分たちの信仰を培い、その喜びを生き生きと伝えていくために、たえず『新しい歌』を創作し続けることは、大いに勧められます」と、典礼における新しい歌の必要性を強調。歌詞については、「カトリック教会の信仰を正しく表現し、信者の信仰を深め、豊かにする内容のものであることが大切」とし、創作された作品がよりふさわしい聖歌となるよう、使用される範囲に応じて必要な認可の手続きをまとめている。また、聖歌集の認可と発行、歌詞と旋律の著作権、ウェブサイトによる作品の公表などについても規則を示した。
日本カトリック典礼委員会委員長の白浜満司教は、指針の公布に当たってコメントを発表し、「『新しい歌を主に歌え』という詩編作者の呼び掛けに応えて、本指針が、今後、世に出されていく作品の『祈り』としての品位を高め、また、将来、日本の教会のために、新しい聖歌集を生み出す助けとなることを願っています」と述べ、理解と協力を求めた。