英国国教会は6月28日、英庶民院(下院)議長付きチャプレンのローズ・ハドソン=ウィルキン氏を、ドーバー主教に任命すると発表した。就任は11月で、実現すれば同教会初の黒人女性主教となる。
ドーバー主教は、英南東部ケント州にあるカンタベリー教区の補佐主教に与えられる称号。教区主教であるカンタベリー大主教が、同教会、また世界に広がる各聖公会を代表する立場にあることから、実質的な教区主教としての役割を担う。
ハドソン=ウィルキン氏はジャマイカ出身。1982年に同教会の社会奉仕団体「チャーチ・アーミー」(教会軍)の伝道者となり、91年に執事、94年に司祭に叙任。その後16年余りにわたり、ロンドンのハックニー地区で司祭を務めた。2007年に女王付きチャプレンとなり、10年には庶民院議長付きの第79代チャプレンに、女性として初めて就任した。14年からは、ロンドン大火記念塔近くにあるセントメアリー・アットヒル教会の司祭も務めている。夫のケネス・ウィルキン氏は教誨師をしており、2人の間には成人した3人の子どもがいる。
ハドソン=ウィルキン氏は発表を受け次のように語った。
「次期ドーバー主教に召されたことに胸が高鳴っています。カンタベリー教区のドーバー主教は、キリストの証し人として長い歴史を持っているからです。私はケント州の皆さんと共に歩むことを楽しみにしています。そこでは既に良き働きがなされていることを喜んでいます。宗教界や社会の指導者と力を合わせて、希望と愛と正義の福音が信仰生活の中心となるよう務めていこうと思います」
カンタベリー大主教ジャスティン・ウェルビーは、「過去9年間の長きにわたり、影響力のある有能な奉仕者として庶民院議長付きのチャプレンの務めを果たしてきました」と称賛し、就任を歓迎した。
「ハドソン=ウィルキン氏は有能な牧会者で、度重なる危機を乗り越えてきたと常々耳にしています。特にここ数年は大変だったと聞いています。またその前は、大変有能な小教区の司祭でした。彼女は預言者であり、牧師であり、伝道者だといわれています。英国在住の少数民族に関する取り組みでは、英国国教会に挑戦を投げ掛けてきましたし、多くの伝道集会でも力強く雄弁に語ってきました」
ジョン・バーコウ庶民院議長は、ハドソン=ウィルキン氏の過去9年間の「変わることのない支援と友情」に感謝した。
「ハドソン=ウィルキン氏は、今までで出会った人の中で一番心が温かく親切で、愛情深い人物です。庶民院の議員と職員は、彼女がいなくなることで寂しい思いをするでしょう。特に私はそうです。彼女はご自身が知る以上に責任感が強く、悲しみの中にある人を慰める力があるのです」
「ジョー・コックス議員が殺害された時や2017年のロンドン・テロ事件の時も、彼女の確固たる姿勢は誰の目にも明らかでした。喜ばしい時にも、訃報の時も、また祈りにおいても、誰もが求める心強く頼もしい存在感があります。彼女は最も優れたドーバー主教になるでしょう。私は彼女の今後の霊的歩みを見守り続けます」
ハドソン=ウィルキン氏の叙任式は、11月19日にロンドンのセントポール大聖堂で行われ、同30日にカンタベリー大聖堂に着任する。