韓国の金大中(キム・デジュン)元大統領の妻で、大韓YWCA連合会総務などを務めた李姫鎬(イ・ヒホ)さんが10日、ソウル・新村(シンチョン)の延世(ヨンセ)大学付属セブランス病院で老衰のため死去した。96歳だった。
同病院の葬儀場には李さんの遺体が安置され、日本の鳩山由紀夫元首相をはじめ、多くの人が弔問に訪れている。韓国クリスチャントゥデイ(韓国語)によると、14日午前6時に出棺され、同7時から李さんが長老を務めていた滄川(チャンチョン)教会=新村=で葬儀礼拝が行われる。金氏の墓がある国立墓地「ソウル顕忠院」に埋葬される予定。
李さんは1922年、ソウルで6男2女の第4子として生まれた。李さんが理事長を務めていた金大中平和センターによると、漢方医の家系出身であった母親が熱心なキリスト教徒(プロテスタント・メソジスト派)で、その影響から自身も信仰を持つようになったという。
50年にソウル大学を卒業し、米国へ留学。帰国後、女性の権利向上のために尽力し、大韓YWCA連合会総務などを務めた。
金氏とは62年に結婚した。韓国のハンギョレ紙(韓国語)によると、金氏にはカトリック信徒の前妻がいたが先に亡くしていた。金氏は李さんとの結婚前の56年、前妻の影響でカトリックの洗礼を受けている。金氏と李さんは、カトリックとプロテスタント(メソジスト派)という異なる教派に属していながらも互いの信仰を尊重し、それぞれの教会に通い続けたという。李さんは、滄川教会の長老だけでなく、聖歌隊の隊長としても活躍した。
金氏は大統領になる前、73年には東京で拉致されたり(金大中事件)、80年には光州事件の首謀者として内乱陰謀罪で死刑判決を受けたりするなど多くの苦難を経験した。そのような中でも、李さんは獄中の金氏に手紙を送るなどして支え続けた。
金氏の大統領就任後は、2000年に北朝鮮の平壌で行われた初の南北首脳会談に、ファーストレディーとして同行。北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記が死去した11年にも、弔問のため訪朝した。最近では15年にも訪朝しており、南北間の関係改善に努めてきた。