6月2日のアジア祈祷日に合わせて、日本キリスト教協議会(NCC)は14日、式文の日本語版を同協議会のホームページで公開した。今年のテーマは、「無国籍の人々、人身売買された人々―私たちの共なる巡礼者たち―」。式文のメッセージでアジアキリスト教協議会(CCA)のマシューズ・ジョージ・チュナカラ総幹事は、「無国籍と人身売買の問題はしばしば絡み合っており、現代世界に蔓延している特に深刻な人権問題」と指摘し、「この脅威に対して喫緊の優先度をもって対処することは、キリスト者たちが当然なすべき応答」と呼び掛けた。
アジア祈祷日は、CCAの前身となる東アジアキリスト教協議会(EACC)の設立総会の日に由来して、毎年ペンテコステ前の日曜日に行われている。CCAの加盟教会と加盟協議会のほか、関係する世界各地の諸教会や協力団体がこの日を覚え、アジアに関わる特定のテーマに焦点を合わせて祈りをささげている。
CCAによると、世界で無国籍と特定されている人々の40パーセントはアジア太平洋に暮らしている。また、東南アジアや南アジアでは、性別や民族、人種、宗教などによって差別する法律や慣行の存在が、無国籍者を生む大きな原因となっている。2014年の世界奴隷指標(GSI)によれば、全世界にいる人身売買の被害者3600万人のうち、約3分の2を占める2350万人がアジア出身者だ。
式文は、被害の実態に対する理解を深めるために、マレーシアやベトナムにおける人身売買被害の実例や、タイとミャンマーの国境付近に暮らすカレン族難民の証言を掲載しているほか、ミャンマーの少数派イスラム教徒ロヒンギャに対する迫害や、インドとネパールで蔓延する性的人身売買の状況などにも触れている。
チュナカラ氏は、「これらすべての非人間的な要因は、神の像と、神の像のごとく創造されたすべての人間にふさわしい基本的尊厳を傷付けています」と事態の深刻さを強調。「キリスト者たちの応答と証しは、この基本的な尊厳を守るようにと命じるのです。私たちは人身売買の被害者たちの救出とリハビリテーションや、無国籍の人々の権利擁護に取り組み、有意義で尊厳ある人生に向けて、そうした人々を彼ら彼女らの共同体に再統合しなければなりません」と述べた。