クリスチャンのクラシック音楽家らによる賛美宣教団体「ユーオーディア」が3日、東京オペラシティで設立30周年を記念する公演「賛美の夕べ」を開催した。音楽にのせてキリストの香り(ギリシャ語で「ユーオーディア」)を多くの人々に届けようと、6人のクリスチャン音楽家によって始まってから30年。現在は、音楽奉仕者育成機関「ユーオーディア・アカデミー」や、海外にも支部や「ユーオーディア世界音楽宣教センター」(タイ・バンコク)を持つなど成長し、約400人のメンバーが所属している。
「賛美の夕べ」は、ユーオーディア管弦楽団・合唱団が結成された1990年に第1回を開催し、それ以降毎年開催している。この日は、代表の柳瀬洋氏をはじめ、結成メンバーの1人でユーオーディア・アンサンブルの第1バイオリニストとして活躍する蜷川(にながわ)いづみ氏、オーボエ奏者の姫野徹氏、バリトン歌手の加賀清孝氏が出演。総勢約140人のユーオーディア管弦楽団・合唱団と共に、会場いっぱいに響き渡る音色と歌声で賛美をささげた。
記念公演最初の曲は、フィンランドの作曲家ジャン・シベリウス(1865〜1957)による弦楽合奏曲「アンダンテ・フェスティーヴォ」。フェスティーヴォは、イタリア語で「祝祭的な」という意味で、設立30周年を祝う楽曲として選ばれた。
続いて、スペインの大バイオリニスト、パブロ・デ・サラサーテ(1844〜1908)が、自らのために作曲したバイオリン独奏曲「ツィゴイネルワイゼン Op.20」を蜷川氏が演奏。プログラムには「大好きなこの曲をユーオーディアの愛する仲間たちと奏でることができて本当にうれしく思います。人生の道をさまよっていた私を捉え、イエス様の十字架の愛で救い上げてくださった真の神様に今宵(こよい)のツィゴイネルワイゼンを献(ささ)げます」と同曲に込めた思いをつづっている。
そしてクラリネット奏者の柳瀬氏が、英国の作曲家ジェラルド・フィンジ(1901〜56)の代表作「クラリネット協奏曲 Op.31」を第1楽章から第3楽章までたっぷりと時間をかけて演奏した。
休憩を挟んでの後半は、柳瀬氏の夫人で作曲・編曲家である柳瀬佐和子氏による「Footprints(あしあと)」で始まった。「Footprints」は、いつもは自分とイエス様の2人の足跡があったのに、人生で一番つらかったときに1人の足跡しかなかった理由をイエス様に尋ねる詩に、佐和子氏が曲付けしたもの。1999年の「賛美の夕べ」で初演して以来、ユーオーディアの公演で何度も届けてきた曲だ。「苦しみや試みの時に、あしあとが一つだったとき、わたしはあなたを背負って歩いていた」とイエス様が答える場面では、加賀氏が優しく語り掛けるイエス様の声を独唱。信じる者を決して見捨てず、大変な時にはその重荷のすべてを担ってくださるイエス・キリストの愛を届けた。
また「Footprints」は、ユーオーディアがこれまで歩んできた足跡をたどり、未来に向けての新しい出発を願う今回の公演のテーマでもある。30年間活動を続ける中で、新しい人材も育っており、この日の公演には親子で出演した家族も多かった。
加賀氏による「静けき川の岸辺を」(讃美歌520番)の独唱、ほぼすべて聖書の言葉だけで構成された「神はそのひとり子を」が続き、最後にはボブ・キルパートリックの「主の栄光」、そしてこの日集った約1500人の観客と共に「聖なる 聖なる 聖なるかな」(讃美歌66番)を歌い上げた。
公演を終え柳瀬氏は、「ユーオーディアの30年の歩みは主の奇跡の連続でした。主はお約束の通り、賛美のうちに住まわれる(詩編22編)ことを今、確信しております」と語った。
<ユーオーディアのこれまでの歩み>
1988年 | 柳瀬洋代表ら6人による「ユーオーディア・アンサンブル」結成 |
1990年 | 「ユーオーディア管弦楽団・合唱団」結成 第1回「ユーオーディア賛美の夕べ」開催 その後、東京を本部に、大阪、沖縄、仙台、ホノルルに支部開設 |
2004年 | 「ユーオーディア・アカデミー」設立 |
2005年 | 「ユーオーディア音楽宣教センター」(タイ・バンコク)設立 |
2009年 | 「一般社団法人ユーオーディア」設立 |