旧約聖書に登場する都市「アナハラト」との説があるイスラエル北部のテル・レヘシュ遺跡で、紀元前12〜同10世紀ごろのものとみられる土製の仮面や女神像の彫られた石器片などが出土した。現地で発掘を行う日本の調査団(団長:月本昭男立教大教授)が27日、発表した。
仮面は、先住民であるカナン人が魔よけなどに使っていたものとみられる。今回発掘されたものは顔の鼻から下半分しかないが、類似の仮面がフェニキア人の遺跡からも多く見つかっているという。
遺跡はレバノン国境の南約50キロの地点にあり、幅約260メートル、高さ約40メートルの丘陵状の土地。一帯は旧約聖書のヨシュア記19章17〜23節に記されたイッサカル族の土地で、アナハラトはその中の主要都市。アナハラトが存在していたとされる紀元前10世紀ころは、ダビデ王やソロモン王が活躍した時代に当たる。
共同通信によると、調査団長の月本昭男立教大教授(古代オリエント学)は、「カナン人の生活を知る上で重要な発見」としている。