【CJC=東京】英国国教会(聖公会、信徒約7700万人)のランベス会議が7月16日から8月3日まで英ケント州カンタベリーのケント大学で行われた。最高指導者カンタベリー大主教、ローワン・ウィリアムズ氏は、一致と相互理解を訴えた。
今回のランベス会議は、同性愛聖職者の叙階問題、同性間カップル結合の祝福、女性主教叙階といった問題をめぐり、伝統重視の教会がボイコットするなど、さまざまな波紋が広がる中での開催となった。
閉会講演でウィリアムズ氏は、「今回は、共に問題を克服できず、機構一新もならなかった。それにはなお時間が必要だろう」と認めた。アングリカン・コミュニオンは一つの盟約を必要としているとして、ウィリアムズ氏は首座主教会議を出来るだけ早く、2009年中にも開催したい、と述べた。
今回会議は、公然同性愛者の主教叙階、同性愛者間の「結合」祝福などをめぐる伝統派と革新派の対立が各国聖公会内で発生、教会分離に至りかねない状況の中で行われることになったため、招待されても出席しない主教がケニア、ナイジェリア、ルワンダ、ウガンダなどアフリカで230人に上った。
結果的に見て今回出席した約670主教の多くはカンタベリー大主教の一致を目指す路線を支持する意向のようだ。英紙『タイムズ』によると、参加者100人を対象にした調査でも9割が支持を表明、困難はあっても聖公会共同体に留まる意義を認めている。共同体のあり方についても、より緩やかな連合が良いとするのは25%、より強固な組織を望むものが大多数を占めた。
英国国教会第5位の指導者、ウィンチェスターのマイケル・スコット=ジョイント主教は、『サンデー・テレグラフ』紙に、カンタベリー大主教の一致路線には切迫さを欠いており、うまく行かないのではないか、と語っている。「ランベス会議は、欠席した主教に対し最も悪い事態まで進むことを期待されている。共同体内のフェローシップ(友愛)をどうしても残すためには、遅かれ早かれ、共同体を分割する取り決めを結ぶ必要がある」と言う。
エクセターのマイケル・ラングリッシュ主教も、より寛容な教会を排除する一つの核となる共同体であるべきだとする「不変の論理」がある、と語った。
カンタベリー大主教は、新・司牧会議、新しい盟約か信仰に関する一致声明、教義を定める『新・アングリカン信仰職制委員会』、教会法の改定草案などを構想している、と言う。
ランベス会議は1867年に第1回、78年に第2回が開催され、以来、二度の世界大戦中を除き、10年に一度行われることになっている。教会を取り巻く情勢が切迫する中で、開催頻度を高めることを望む意見も出ている。ただ会議開催の経済的負担は大きい。今回の経費500万英ポンド(約10億円)では200万ポンドの赤字に終わった。会議運営の不手際もある。参加主教たちが会議の討議内容について知らされたのは開催の僅か3週間前、カバンに入りきれないほどの資料を手にしたのはケント大学に到着してからだった、とも伝えられている。