【CJC=東京】カトリック修道会『シトー会』修道士の聖歌隊が歌った「Chant - Music For Paradise」が、欧米で思わぬヒットとなっている。英ユニバーサル・ミュージックから発売されたCDはすでに40万枚売り上げたとも伝えられる。
全英ヒットチャートで2カ月も20位以内にランクイン、ついに8月には9位と異例のヒットになった。本国オーストリアでもポップとクラシックの両部門でランクイン、米ビルボード誌でも2日現在、クラシック部門1位を続けている。
聖歌隊はウィーンの森に12世紀に建てられたハイリゲンクロイツ修道院の修道士により結成された。カトリック専門週刊誌『タブレット』などに掲載された、「グレゴリオ聖歌のアルバム収録に参加できる聖職者求む」というレコード会社の広告を見た修道士の1人の親類から知らされ、応募したところ、100以上のグループの中から選ばれたという。修道士が動画共有サイト『ユーチューブ』にビデオを投稿したのがきっかけで人気が出た。
聖歌隊のカール・ワルナー神父は、「グレゴリオ聖歌は祈りの一つで、霊性を表現した音楽。私たちはロビー・ウィリアムスやマイケル・ジャクソンのようなポップスターではなく、毎日祈り歌うことを習慣としているただの修道士」と語っている。
聖歌隊のヨハンネス=パウル・シャバンヌ修道士は25歳。居室にはコンピューターがあり、インターネットにもつながっている。「修道院の伝統は守らなければならないが、“第三千年期”に生きるものとして、現代のメディアも活用しなければ」と言う。
ハイリゲンクロイツ修道院は観光名所にもなっており、製造しているワインの売れ行きも好調な所から、CD売り上げは、ベトナムやナイジェリアからの留学生の支援に充てる、と余裕を見せている。修道士たちは気をよくしたのか、11月にはクリスマス聖歌を集めたアルバム第2弾の発売を予定しているという。CDのホームページはこちら。