米誌「クリスチャニティー・トゥデイ」によると、子ども支援のキリッスト教NGO「コンパッション」(本部:米コロラド州)は20日、13万人に上る支援者らに、インドにおける活動が危機に瀕(ひん)していると報告した。
48年にわたりインドで活動しているコンパッションは、同国内に580人のスタッフを抱え、約14万5千人の子どもたちを支援している。インドの子どもたちへの人道支援に関わる拠出は、年間約5千万ドル(約57億1万円)に上る。
しかし、インド政府は2011年、海外から寄付を受ける非政府組織(NGO)を規制するため、外国寄付規制法(FCRA)を改正した。コンパッションや米高官らの働き掛けにもかかわらず、コンパッションはインド国外からの資金を受け取ることができなくなり、このままだと活動を停止せざるを得なくなる見込みだ。
コンパッションは支援者らに電子メールで、「(インドの)現地事務所に資金を供給できませんので、3月15日までにインドの現地事務所を正式に閉鎖する旨を、インドの現地スタッフに通知せざるを得ませんでした」と報告。「状況が変わらない場合、インドの子ども支援プログラムは60日以内に終了することになります」としている。
FCRAの改正は、汚職やマネーロンダリング(資金洗浄)の規制を目的に進められているが、コンパッションや他のキリスト教慈善団体に対する規制については、14年にナレンドラ・モディ首相が就任した後に支配力を増すヒンズー教国粋主義者らの影響があると、慈善運動家らは考えている。
コンパッションの主任弁護士であるスティーブン・オークリー氏は以前、米下院外交委員会で次のように語った。「私たちが今経験していることは、私たちを締め出すことを目的とした、高度なレベルで操作された、意図的かつ組織的な前例のない攻撃です」
迫害監視団体「オープン・ドアーズ」は現在、キリスト教徒であることが最も難しい国のリストの中で、インドを15位に位置付けており、「インドにいる約6400万人のキリスト教徒のうち約3900万人は、直接的な迫害を経験している」と述べている。
インドの状況に関するコンパッションの正式な声明は、今のところ発表されていない。
コンパッションによる支援が受けられなくなる子どもたちにも、希望はあるかもしれない。コンパッションの広報担当者であるベッカ・ビショップ氏は、「子どもたちはコンパッションによる支援を失うかもしれませんが、現地の諸教会からの支援を失ったわけではありません」とコメント。「現地教会が資金を持ってさえいれば、実現可能な奉仕がまだたくさんあるかもしれません」と語った。