日本キリスト教協議会(NCC)は31日、小橋孝一議長の名で、慰安婦問題について「『少女』の人生の傷はこれでは癒されない」と題する談話を発表した。
小橋議長はこの談話で、1992年1月8日にソウル日本大使館前で始まった、日本軍『慰安婦』問題解決のための水曜デモが2011年12月14日に千回を迎えるに当たって「平和の碑」(少女像)が建立されたことに触れ、「今も毎週、『慰安婦』被害女性たちを囲んで、若い女性や市民が集まり、被害女性たちが受けた人生の傷が癒され、問題が真実に解決されることを求めて、心からの叫びをあげ続けている」と述べた。
また、「2015年10月14日、韓国教会協議会の計らいで、私も矢萩新一副議長と共にこの集いに参加し、発言の機会を得たが、集う人々の真実の叫びに心を打たれた」と回想。その一方で、「日本大使館は門を固く閉ざし、全く応えようとしない。それはこの問題に対する日本政府の態度をそのまま表していた」と記した。
「そして今、日韓両政府の合意によって進められようとしている『和解・癒し財団』に10億円支出することによって、この『少女像』の移転・撤去を迫っている」とし、「しかもこの10億円は、被害女性一人ひとりの『要望』を調査して支給するのだという。そして『もうこれでこの問題は打ち切りにする』と言うのだ」と付け加えた。
その上で小橋議長は、「しかしこれで生涯苦しみ続けている被害女性たちの人生の傷が本当に癒されるだろうか。そして両国民の真実の和解が成るだろうか」と疑問を呈した。さらに、「『合意』に反対する韓国の被害者、更にフィリピン、台湾、中国、インドネシア、東ティモール、朝鮮民主主義人民共和国、オランダなどの被害者の意志は全く無視されたままである」と指摘し、「現政府の『札束で相手の頬を打つ』手法がここにも表れている。『少女像』に込められた被害女性たちの人生の傷がこんな方法で癒されるはずがない。それどころか益々傷を深めることになるであろう」と強調した。
最後に小橋議長は、「『和解・癒し』を実現し、未来を志向したいのであれば、まず我国が犯した罪を認め、被害者に謝罪し、神と世界の前で悔い改めて、出直すことが必要である」と、キリスト教の観点から訴えた。