新約聖書の福音書に登場するマグダラのマリアを主人公にした伝記映画「Mary Magadalene(原題)」の撮影が、この夏からスタートする。米映画情報サイト「Deadline」がこれまでに報じてきたところによると、本作品の製作は「英国王のスピーチ」を手掛けた英製作会社「See-Saw Films」と、米ユニバーサル・ピクチャーズが共同で行い、監督を務めるのはガース・デイビス。マグダラのマリアを演じるのは、「ソーシャル・ネットワーク」や「ドラゴン・タトゥーの女」で知られ、昨年には「キャロル」で第68回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で女優賞を受賞した米女優ルーニー・マーラ。
さらに、伝説的な米俳優リバー・フェニックスの実弟で、自身も「グラディエーター」や「ザ・マスター」で評価を得ているホアキン・フェニックスが、イエス・キリスト役で出演すると報じられていた。そして今月、「それでも夜は明ける」でアカデミー主演男優賞にノミネートされた英俳優のキウェテル・イジョフォーがペテロ役で出演交渉中であると報じられ、2017年の公開がいよいよ待ち遠しくなるようなキャストが、次々と明らかになってきている。
マグダラのマリアは、イエスに従った女性たちのうちの1人で、新約聖書では「7つの悪霊を追い出していただいたマグダラの女と呼ばれるマリア」として登場し、イエスの十字架の死と埋葬を見届け、復活したイエスに最初に出会った人物であることが記されている。
福音書の一場面として有名な「姦通の現場で捕らえられた女」や、「罪深い女」と同一視されることも多く、イエスの生涯の映像化に当たっては、米国で撮影された最初の作品「FROM THE MANGER TO THE CROSS」(1912年)以来、さまざまな描かれ方がなされてきた。近年では映画「パッション」で、「イタリアの至宝」と称される女優モニカ・ベルッチが演じたことが大きな話題となった。だが、マグダラのマリアの人生に焦点を当てた映画が撮影されるのは、本作品が初めて。
カトリックや正教会では聖人として人々の尊敬を集め、数多くの伝説が言い伝えられているのはもちろん、キリスト教の中で異端とされる宗派においては「イエスの妻」であったとされ、イエスの末裔(まつえい)がテーマとなった小説『ダ・ヴィンチ・コード』は映画化されて一世を風靡(ふうび)するなど、今なお話題を事欠かないマグダラのマリア。聖書には彼女の生い立ちや7つの悪霊、復活のイエスと出会ったその後の詳細が記されていないだけに、伝記映画としてどのようなストーリーになるのか注目される。