社会福祉法人こころの家族(尹基=ユン・ギ理事長)は、東京都江東区に建設中の特別養護老人ホーム「故郷の家・東京」の上棟式を27日、ウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会の峯野龍弘主管牧師の司式により礼拝形式で開催した。式典には、同施設の支援者や関係者および工事関係者など約80人が集まり、これまでの歩みに感謝し、今後の工事の安全と施設の完成を祈った。
韓国孤児に「オモニ」と慕われた日本人クリスチャン女性、田内千鶴子の思いを受け継ぎ、長男である尹氏が呼び掛けて設立された「故郷の家」は、在日韓国・朝鮮人が日本人と共に暮らせる老人ホームとして、1989年に大阪府堺市で初めて開設された。その後、大阪市(94年)、神戸市(2001年)、京都市(09年)にも建てられ、「故郷の家・東京」は全国で五つ目、関東では初の「故郷の家」となる。完成は今秋の予定。
式典となる礼拝では、峯野牧師がメッセージを取り次いだ。招詞で詩編24編1~8節が読まれたことを受け、「故郷の家・東京」を神が建て上げた城に例え、そこに迎え入れられる、人生の荒波を越えて余生を与えられた高齢者が、「『いろいろなことがあったけれど、ここでは尊い取り扱いをされ、王様、女王様になったようだ』と言っていただけるようになったら、とても幸いなことだと思う」と話した。
また、詩編121編1~8節を通して、建物が完成する日までを都に上る途上と捉え、「完成するまでにはさまざまなアクシデントや災いが押し寄せてくるかもしれないが、それら一切から守ってくださるのは全能者なる神しかいない」と伝えた。そして、「工事完成の喜びの日まで、神がそこでお働きになられるお一人お一人と共にあって、あらゆる災いからお守りくださるように」「その業を祝福してくださり、人生の長い旅を続けてきた高齢者を憩わせる素晴らしい建物が完成するように」「神の愛と恵みのうちにその働きが祝福されるように」と祈った。
在日韓国老人ホームを作る会代表の阿部志郎氏と元名古屋日韓親善協会副会長で社会福祉法人こころの家族・家族代表の前田龍氏が祝辞を述べた。阿部氏は、「肉体の機能が下り坂になっても、魂は登り坂を上っていく。そして、最後に栄光の冠を授けると聖書は約束をしている」と話し、「『故郷の家・東京』で過ごされる一人一人が、今日生きる喜びと、明日への生きる希望に満たされ、豊かな生活を送っていただきい」と語った。さらに、芭蕉の句「よく見れば薺(なずな)花咲く垣根かな」を引用し、「故郷の家・東京」が、日韓の間にある垣根の上に咲く美しい花になってほしいと期待を込めた。
「故郷の家の歌」の作詞者でもある前田氏は、現在京都の「ケアハウス故郷の家」で暮らす。その日々の暮らしの中で、職員の温かい心遣いが何よりもうれしいと話す。こういった心遣いが生きていく力になると話し、「目には見えない温かい思いやりの心を建設してほしい」と伝え、今後の工事の安全を祈った。
続いて、在日韓国老人ホームを作る会副会長の樋口恵子氏と、建設業者の大木建設株式会社取締役執行役員の久保田秋男氏が登壇した。樋口氏は、4世代の交流ができる地域を目指したいと語り、地域の中で家族になるということを「故郷の家・東京」の役割の一つに加えてほしいと語った。久保田氏は、現在竣工に向けて、1日100~120人の職方で工事を進めていることを伝え、「彼らと『家族』という感覚で、完成まで一緒に仕事をしていきたい」と話した。
最後に「こころの家族」理事長の尹氏があいさつに立った。「不可能を可能にしてくださった神に感謝する」と述べた後、「故郷の家・東京」が決して順風満帆に来たわけではないことを語った。建設地の江東区は、練馬・新宿・北区に次いで4度目の挑戦で、しかも2020年の東京オリンピックにより土地が高騰したことなど、財政面においてつらい目に遭いながらもさまざまな助け手が与えられ、この日を迎えられたことなどを話した。
「故郷の家」のテーマは、「高齢者がいかに楽しく生きるか」。尹氏は、上棟式のプログラムの表紙にあった、画家のパブロ・ピカソ(1881~1973年)と妻が一緒にダンスをする写真を紹介し、「長く生きるのもいい。ピカソのように楽しく長生きを」と語った。
「故郷の家・東京」は今年秋に完成する予定で、現在介護職員を募集している。
【介護職員・パート】
内容:室内の環境整備、食事介助、保清介助、入浴介助、移動・移乗介助等
時間:①7:00~15:00②13:00~22:00③22:00~翌朝7:00
休日:週休2日制
資格:高卒以上、ヘルパー2級以上、介護福祉士優遇
【訪問介護ヘルパー】
内容:生活支援(調理・洗濯・生活必需品の買い物、掃除等)や身体介護(食事・入浴・排泄介助等)
時間:短時間でも可能、要相談
休日:要相談
資格:高卒以上、ヘルパー2級以上
問い合わせは、社会福祉法人こころの家族求人窓口(電話:03・3518・9875、担当:有賀)まで。こころの家族についての詳細はホームページ。