日本国際飢餓対策機構(JIFH)は2日、飢餓や災害に苦しむ人々を支援する寄付機能付き飲料用自販機「飲料用ハンガーゼロ自販機」の設置が間もなく100台になることを発表した。
世界の飢餓問題解決のために「ハンガーゼロ・アフリカ」(飢餓のない世界の実現)を提唱し、さまざまな支援の取り組みを続けるJIFHは、活動の一環として2011年から、誰もが身近な形で国際協力できる「飲料用ハンガーゼロ自販機」の設置を行っている。これまで教会や学校、企業、福祉施設、商店などに設置し、間もなく100台を達成するまでに支援の輪が広がってきた。
ドリンク1本につき10円が寄付に充てられ、15年度の募金額は227万円となった。この金額は、飢餓に苦しむ人々への給食約7万6千食分(1食30円)相当になるという。13年からはこの寄付機能に加え、国内での大規模災害発生時に対応する「パンの缶詰と水」(約100セット)が2年ごとに無料で提供される備蓄機能を備えたタイプも追加され、より社会貢献ができるものとして設置拡大につながっている。
備蓄機能付きの自販機は、大手飲料メーカーのキリンビバレッジ株式会社と、JIFHの協力企業で、世界で初めて3年間保存可能なパンの缶詰を開発した株式会社パン・アキモトの協力により実現した。備蓄されたパン缶とミネラル水はすでに、14年の広島土砂災害、東日本大震災・福島飲料水支援などに使われている。
首都直下地震や南海トラフ地震など、今後予想される災害を見据え、食料や飲料水を備蓄する必要性が高まる一方で、「具体的な方法が分からない」「発生するかどうか分からないものに予算化は厳しい」「備蓄しても使わなければ廃棄しないといけない」などの課題も出ている。こういった課題に対してJIFHは、「設置者が無料で食料と水が備蓄でき、かつ将来の廃棄問題にも対応したもので、設置や管理も飲料会社で行うため、実質的な負担はほとんどない」と説明する。
教会に対しても、地域社会への貢献につなげてほしいと、今後も積極的に設置を呼び掛けていくという。