英国のチャールズ皇太子は、キリスト教が中東地域にあるその生誕の地から、5年以内に消滅するだろうと警告した。
英国の新聞「エキスプレス」によると、チャールズ皇太子は「その苦しみは、キリスト教の生誕の地での存在そのものを脅かす本当の危機の前触れです」と、ロンドン中心部にあるカトリック教会の大司教館で語った。
「非常に優れた団体である『Aid to the Church in Need(必要のある教会へ援助する会)』によると、国際的な連携で大規模かつ緊急の支援がなされなければ、キリスト教はイラクから5年以内に消滅します」とチャールズ皇太子。
「このことは私たちすべてに影響します。結果として私たちが直面している最も大きな困難は、中東地域におけるキリスト教の霊的・文化的遺産を将来の世代のためにいかに確実に保全するかということです」
ここ2年間、キリスト教徒はイラクとシリア全域で過激派組織「イスラム国」(IS)の主な標的となっており、その人数は明白に減少している。
戦闘員たちは、幾つかの動画の中でキリスト教徒を斬首し、制圧した街に住むキリスト教徒に対し、彼らの流儀のイスラム教に改宗するか、死か、追放されるかを選ぶよう警告している。
チャールズ皇太子の逼迫(ひっぱく)した警告は、イラクやシリアの教会の指導者たちからもなされており、メルキト・カトリック教会アレッポ大司教のジャン=クレマン・ジャンバルト氏は10月に、中東からキリスト教徒が脱出することは「終末的で致命的」と述べた。
ジャンバート氏は、「キリスト教徒の脱出」は「国外追放の一つの形であり、忠実な信者たちを屈辱的な亡命者と断じ、2000年の歴史を持つ教会を致死的に干上がらせる」ものだと語り、欧米諸国に対し、難民の苦境に「無関心か不正義」だと非難した。
チャールズ皇太子は他の機会においても、中東地域でのキリスト教徒への迫害について公に語っており、2013年12月には「危機的な」ところまで来ていると指摘した。
「私にとっては、中東のクリスチャンがイスラム原理主義者に恣意的に標的とされることがますます増加しているという事実は、無視できないものであるように感じます。キリスト教は文字通り中東地域で生まれたもので、私たちは中東にいるキリストにある兄弟姉妹のことを忘れてはなりません」と当時チャールズ皇太子は語った。