次世代を担うリーダーを養成し、教会形成の新たな道を切り開く海外の諸教会から、スティーブ・ケリー氏(ウェーブチャーチ主任牧師)とジェラルド・キーハン氏(サンセットコーストCLC主任牧師)を招いて、ジーザス・ライフハウス・インターナショナルチャーチ東京(以下、JLH)が、「NEW GENERATION NETWORK LEADERS ' TRAINING DAY」 東京・大阪セミナーを開催した。12日の東京セミナーでは、御茶ノ水クリスチャンセンターを会場に約100人が集まり、聖書に基づく正しい教会を形成するために必要な、リーダーとしての本質を探り、理解するためのメッセージが語られた。
オープニング :ロッド・プラマー牧師
オープニングでは、JLH主任牧師のロッド・プラマー氏が、神様を伝えるというビジョンと情熱をもって、16人の若者と共にオーストラリアから5年前に来日したという、同教会の成り立ちを説明。プラマー氏は、「日本は刈り入れるばかりになっています」と語り、次の世代の弟子訓練に必要なのは新しい文化を築くことであると伝え、家族や周囲の人々に対する繋がりの希薄さが、現在の若者の現実感の無い生活文化を作り出しているとし、日本での彼らの居場所と役割を与えるためには、教会が素晴らしい場所であると伝えることの必要性を語った。
プラマー氏は、リーダーとして人々を教え導く時に、「コアとなるDNAや文化を植えつけていかなければならない」と語り、成長しても基本を忘れず、祈りをシンプルかつ的確に、心に聖句をいつも抱いて、土壌を整えさえすれば、次世代に大きな収穫があると説き、「日本人は仕えたいという心でいっぱいだ。教会では仕える場所を提供したい」「日本は難しいというのはやめましょう。悪魔の言うことではなく、神様と天使が言うことに耳を傾けましょう」と、聖書の言葉により希望を持つよう勧めた。
第1セッション :スティーブ・ケリー牧師
続いての第1セッションでは、米バージニア州で全米最大の夕拝を持ち、主日には4500人もの人々が礼拝を捧げるウェーブチャーチ主任牧師のケリー氏が、「良い知らせには力がある」「最小の働きで最大の効果を得る」「ビジョンをしっかりと持つ」という3つのポイントからメッセージを伝え、私たちが考えることが日々プロデュースされていき、思い描くように未来はなっていくとし、リーダーが素晴らしい視点を築き上げられなければならないと説明した。
ルカの福音書7章1〜8節を引用し、「牧師による直接の働きはいらない」とすべての面で牧師が自ら動くのではなく、リーダーが信仰をもって御言葉を握ることにより、わずかな時間と労力で、最も素晴らしい効果を発揮することが出来ると伝えた。またはっきりしたビジョンを持つことによって、自分自身を鍛え、日々生活を点検して歩んでいけると語り、ビジョンをクリアにし、教会にとって必要な計画を立てることを勧めた。
第2セッション :ジェラルド・キーハン牧師
第2セッションでは、ロンドンのヒルソング教会を築き上げ、9年前からオーストラリア・パースで開拓を始めたサンセットコーストCLC教会主任のキーハン氏が、キリストによる正しい考えを持つ必要性を訴え、「自分のレベルを変えること、そうでないと日本は変えられない。神に私の考えを押しつけるのではなく、自分の意識を正しい考えに変えていかなければならない」と伝えた。
キーハン氏は、「多くのクリスチャンは良い人たちです。しかし何かを行おうとしません。『あなたはどう思う』と問いかけても、誰も答えません。混乱するだけです」と多くの教会に見られる大多数の信徒達の姿を伝え、まだ自立した考えを持たない幼い子どもに、「何が食べたいの、何をしたいの」と問いかけても、答えは返ってこないと語り、「あなたがリーダーなんです。子どもにどこに行くのか何をするのか、はっきりと伝えてください。人々はあなたが持つビジョンによって従うのです」「御言葉をもって決断すること。決断は傲慢ではありません」と、積極的なリーダーシップを勧めた。
また教会内での分裂に対して、「教会にとって必要なのは、『主任牧師を助けるために』という思いを持った人」だと述べ、「私はこれができる。私はこれをしたいのになぜ使ってくれないのか」という思いは、自分が主導権を握り、教会や牧師をコントロールするものであると注意した。
「あなたが教会に受け入れてもらおうとするのではなく、受け入れること」「あなたが祝福されるから、教会が祝福されるのではない」と伝え、指導者に対しては、「何でも神様の御心のままにというのは教会が混乱すること」「すべての教会が正しい働きをしていないのは牧師とリーダーがしっかりしていないから」と告げた。
第3セッション :スティーブ・ケリー牧師
第3セッションでは再びケリー氏がメッセージを伝えた。「リーダーとして特別な印象を与えていますか」と会場に問いかけ、話す言葉のアクセントにより、生まれ育った土地、その人がどこから来たのかが伝わるように、クリスチャンには特別に神様から与えられた「アクセント」があると話す。神様の言葉は、何も無いところから天地を生み出す、無限の創造性に満ちたもの。そのイメージによって創られたアダムが、あらゆる生き物に名前を付け、自身を取り巻く環境を作っていったことから、「私たちも私たちが発する言葉によって環境を変えていきましょう」と未来を築き上げる言葉の重要性を再認識させた。
また、人間の体にはDNA という個人を識別できる特別なコードがあるように、キリストの体であるクリスチャンには一人ひとりに神様のDNAがあると、ケリー氏は話す。ウェーブチャーチの教会員が前向きで明るく、輝いた雰囲気を持ち、地元の人々に「この人はウェーブチャーチの人だ」と見て取れるほど、クリスチャンとしての性質がよく現れていることを伝え、「皆さんは神のDNA、教会のDNAを持っていますか」と、自身のアイデンティティに対して自覚を持つように伝えた。
第4セッション :ジェラルド・キーハン牧師
第4セッションではキーハン氏が、「昔のやり方を手放さないといけない」と語り、日本は流行に敏感で常に新しい物を求め追いかけており、若者たちは常に変わっているため短い礼拝の時間で彼らに何かを与えなければならないにも関わらず、教会はいつも同じスタイルで変わっていないとして、ただ定期的に同じ流れで進行していく伝統的やり方にいつまでも留まってはいけないと注意を促した。「私たちは先へ進まなければならない」と、キーハン氏は強く語る。
周期的に行っている力の抜けたミニストリーや、自分たちが安らぎを得るためのリラックスした集まりなど、身内だけに留まることを見直すように勧め、「機能していない、生産していないものは切り捨てましょう」と鋭く語るキーハン氏。ルカの福音書13章6節を引用し、「私たちは時に実を成さないことばかりしています」「誰がどうみても素晴らしいミニストリーだとしても救いが無い、そういうミニストリーは切り捨てるように」と語った。
Q&A :スティーブ・ケリー牧師、ジェラルド・キーハン牧師、ロッド・プラマー牧師
セッション終了後、 ケリー氏、キーハン氏、プラマー氏の3人による「Q&A」の時間がもたれ、会場からリーダーシップに関する質問が挙げられた。
Q. | 「JLHで色々なミニストリーに取り組んでいると思うが、ステレオタイプにならないためにどうしているか」 |
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A. | 「チャレンジです。世界中で新しいことをしている人といつもコンタクトを取るようにすること」「機能しなかったら捨てていく」「カギは『常に変わろうとする心構え』です」(プラマー氏) |
Q. | 「次世代の教会を始めるために具体的にどのようなリソースが必要か」 |
A. | 「自分のコアワーカーにDNAを伝え動けるようにすることですね」「セルグループでも一人違う考えの者がいると、全体が変わってしまいます」「試してみたけれど駄目だったという話をよく聞ききます。なぜかというと、 一人ひとりが違った考えでDNA どころか神学的にも不一致だったためです」「3人同じDNAのほうが、20人のセルよりもいい」「このようなやり方で育つ、というものは無いと思います。戦略的なものではなく、どのような価値感をもってやっていくかが大切だと思います」(プラマー氏) |
Q. | 「忙しい中でどのように自分自身のスケジュールを決めているのか」 |
A. | 「私がやめなくてはいけないことは何かという問いをいつも自分に投げかけています」「何をしなくてはいけないかより、何をしてはいけないかが重要になります」(ケリー氏) |
「切捨てなければいけない人間関係がある、そういう問題にも取り組んでいくこと。これ以上出来ないよという状態に持って行ってはいけない。その状態はうまく時間を調整できていないということです。」(キーハン氏) | |
「上にあがっていきたいという人のために時間をつかっていきましょう」(プラマー氏) | |
Q. | 「自分が導いている人が教会の考え方を持ってくれない、どれくらいまで教えていけばいいのか」 |
A. | 「もし注意し続けたにも関わらず、同じ間違ったことを行っているなら対処しなければいけません。間違いのある人を導いてしまって、ポテンシャルのある人から焦点を外してしまってはいけない。」「間違えたとしても、人生の中の一瞬だけなら問題ない、しかし繰り返し、繰り返しやってしまうようなら切り捨てなければならない。」(ケリー氏) |
「Q&A」終了後、JLHの礼拝と夜のセッションがあり、ケリー氏がメッセージを伝えた。この日、会場には教会で奉仕する多くのリーダーたちが参加。牧師や伝道師など、教会指導者の姿も見え、次世代に向けた宣教の方向を模索し、海外の新しい動きから学ぶ姿勢に、今後の日本宣教の活発化が期待される集まりとなった。教会改革と発展、多くの実りが期待される。