森記念財団・都市戦略研究所(竹中平蔵所長)は14日、「世界の都市総合ランキング(Global Power City Index=GPCI)2015」を発表した。世界を代表する主要40都市を選定し、6分野70指標で評価するランキングで、東京は8年連続の4位となった。1位はロンドン、2位はニューヨーク、3位はパリだった。
1位のロンドンは、2012年のオリンピック開催以降、1位を維持。スコアも伸ばし続けており、2位のニューヨークとの差をさらに広げた。東京は8年連続の4位で、アジア圏では1位を維持したが、5位のシンガポールがスコアを上げ、東京との差を縮めている。
アジアでは、シンガポール(5位)と香港(7位)が大きくスコアを伸ばした一方、かつて勢いのあった上海(17位)と北京(18位)は、これまで順位上昇をけん引していた経済のスローダウンなどにより、スコアとともに順位を落とした。ソウルは昨年に続き6位。日本では東京の他に、大阪(24位)、福岡(35位)が40カ国の中に入っている。
1位のロンドンについて、同研究所では、下記のように評価・予想している。
- 経済分野では、GDP成長率など複数の指標でスコアを上げ、昨年の4位から2位となった。
- 調査開始以来1位を維持し、他都市を大きく引き離している文化・交流分野では、ロンドンは今年も海外からの訪問者数、国際コンベンション開催件数、買物の魅力などの指標で順位を上げ、その強みをより強固なものにしている。
- 2012年のオリンピック以降も長期的視点による都市づくりが継続しており、今後も人口が増加すると予測されているロンドン。その都市総合力をどこまで伸ばすのかが注目される。
一方、4位の東京については、下記のように評価・予想している。
- 文化・交流分野では、海外からの訪問者数が681万人から887万人へ増加した他、留学生数、食事の魅力、外国人居住者数などの指標が東京のスコアを押し上げ、6位から5位へと上昇した。しかし、トップ3都市と比較すると、海外からの訪問者数、ホテル総数、美術館・博物館数、外国人居住者数等において依然として大きな開きがあり、文化・交流分野は、東京の総合順位上昇の鍵を握っているといえる。
- 交通・アクセス分野では国際線直行便就航都市数、国際線旅客数が依然として低水準にあり、東京の弱みとなっている。
- 東京は2020年に開催される東京オリンピックに向けて、都心部での再開発の加速や国際空港の発着枠拡大が見込まれており、現在抱える弱みを強みに変えることができれば、総合順位の向上が期待できる。
同研究所は2008年、グローバルな視点からの都市戦略研究に取り組むことを目的に設立。設立と同時に、都市の総合力を評価する日本初のランキングとして「世界の都市総合ランキング」を開始し、毎年発表している。同ランキングでは、「経済」「研究・開発」「文化・交流」「居住」「環境」「交通・アクセス」の6分野・70指標で評価を行っている。
■ 主要40都市の2015年のランキング
■ 2015年の分野別総合ランキング結果
■ 2015年のトップ4都市の分野別比較
■ 2015年のトップ4都市のアクター別比較