全国の神社や仏閣などに油のような液体がまかれていた事件で、建造物損壊容疑で逮捕状が出ているキリスト教系団体の設立者である男に、外務省が10日、パスポート返納命令を出した。男は医師としても働いており、米ニューヨーク在住。10日付の官報に掲載された通知によれば、男は14日までに外務大臣または領事館にパスポートを返納しなければならない。この期限を過ぎると、パスポートは失効されるが、男は米国の永住権を取得しているとみられ、その場合は失効後も米国に滞在できる。
返納しなければならない理由は、建造物損壊事件の被疑者として千葉県の佐倉簡易裁判所から逮捕状が発布され、7月23日に警察庁から外務大臣に通報があったからだとされている。今年4月に奈良県の仏閣で油のような液体の痕が発見され、それに続いて似たような被害が全国各地で報告されるようになったこの事件では、香取神宮(千葉県香取市)の防犯カメラに男に似た不審な男の姿が映っており、同神社の建造物に液体をかけた疑いが持たれている。
男は、韓国で設立された宣教団体の理事という肩書で、2012年に日本のキリスト教界に入ったとされている。13年5月に、神から召しを受けた一般信徒が職場などで福音を語り、ビジネスから日本全国へ福音を広げるミニストリーを設立。その団体のディレクターとして各地の教会で講演を行ってきた。講演の中で男は、「聖霊に示されて行った場所の悪霊を追い出すことで、天使の守りが与えられる。勝ち取る場所が増えれば、日本にリバイバルが起きる」などと語り、油を使用したことを話している。