米国のカトリック連盟などが、神を冒涜する内容があるとしてボイコットを呼びかけている映画「ライラの冒険:黄金の羅針盤」について、スコットランド教会は同映画ボイコットを拒否する姿勢を示した。
同教会の宣教・弟子委員会は、映画が「道徳的問題や霊的問題についての幅広い議論を促す絶好の機会を提供している」とし、ボイコットを拒否するだけではなく、同映画の公開を知らせるチラシを配布することも計画しているという。
同映画に関してはこれまで、キリスト教に対して攻撃性があるとして、映画を見ないよう求める声がキリスト教界内から上げられてきた。カトリック連盟は、同映画の原作となるファンタジー小説「ライラの冒険」についても強く批判しており、今月に入ってからは同小説を独自に分析した「黄金の羅針盤:暴かれた課題(The Golden Compass: Agenda Unmasked)」というブックレットを作成し、500近くのメディアに送るなどしている。
「ライラの冒険(原題:His Dark Materials)」は、英国の作家フィリップ・プルマンが書いた、「黄金の羅針盤」「神秘の短剣」「琥珀の望遠鏡」からなる三部シリーズの小説。今回、同シリーズの第1巻目が映画化された。
グノーシス主義やジョン・ミルトンの『失楽園』などに大きな影響を受けた作品とされており、作品内ではキリスト教の神が偽の神であったと描かれ、後半部分では神や天国への反乱が中心的なテーマとなっている。また、作品内で描かれている教会組織がカトリック教会を彷彿させるとして、「反カトリック的」だと抗議されている。
一方、聖公会のローワン・ウィリアムス・カンタベリー大主教は、同作品の内容は、宗教団体の教条主義や抑圧に対する批判であり、キリスト教を含め、特定の宗教それ自体を批判するものではないとしている。
「ライラの冒険:黄金の羅針盤」は、英国では12月5日、米国では12月7日に公開される。