【CJC=東京】教皇フランシスコは9日、バチカン(ローマ教皇庁)のサン・ピエトロ広場で行われた日曜恒例の「正午の祈り」で、広島と長崎への原爆投下から70年に言及、戦争と暴力のない世界と、核兵器の廃絶、対話による平和構築を強くアピールした。この日、サン・ピエトロ広場には数万人が詰め掛けた。
教皇は、原爆投下を人類が科学技術を誤って使った結果引き起こされたとして、「人類の絶大な破壊力を示す象徴であり、戦争を拒み、核兵器や大量破壊兵器を禁じるべきだという、人類に対する警告の役割を果たし続けている」と核廃絶を訴えた。
教皇は、原爆投下が「長い年月が過ぎた今でも、人々に恐怖と憎悪を抱かせている」と指摘。8月6日と9日の「悲しい記念日は、世界平和を願い、人類が平和的共存の拡大に向けて進むことを求めている」と話し、「全世界が戦争と暴力に『ノー』を、対話と平和に『イエス』を」と訴えた。
教皇は昨年12月、トルコ訪問からの帰路、機中の記者会見でも、「広島と長崎から、人類は何も学んでいない」と述べ、「もし終末的なことが起きれば、人類は再び一から始めなければならない。広島と長崎がそうしたように」と核廃絶が進まない現状を強く批判していた。