米国の南部バプテスト連盟の指導者たちが、米国内で人種間の緊張が高まっていることを踏まえて、教会内での人種差別のさらなる撤廃を呼び掛けている。
米国で最大のプロテスタント教派である南部バプテスト連盟は、奴隷所有者を支持する立場で1845年に設立されたが、現在の指導者たちは、全ての人種のキリスト教徒が共に礼拝するべきだと述べている。
「教会では、黒人のキリスト教徒も白人のキリスト教徒もみな兄弟姉妹です」と、同連盟の倫理信教自由委員会のラッセル・ムーア委員長は言う。
「私たちは他の人を気にかけます。体の一箇所が痛むとき、体全体が痛むからです。・・・私たちがお互いを兄弟姉妹であると知るとき、私たちは立ち上がり、お互いのために声を上げるでしょう」
ムーア氏は、今春開催される予定の「福音と人種間の和解」サミットも主宰している。他の南部バプテスト連盟の指導者たちも、教会の中や指導的地位に就く人の多様性をさらに高める必要があると述べている。
「教会は、私たち自身を正す前に、世界に向けて人種について語ろうとしており、これは道徳的権威を欠いています」。テキサス州アーリントンの同連盟の黒人牧師であるドワイト・マックキシック氏は、AP通信にこう語った。
南部バプテスト連盟は、2012年に初の黒人の代表を選出したが、マックキシック氏は、他の役員と同連盟認可の各神学校の校長たちが皆白人だったと指摘する。「これはただの美辞麗句で、現実に合っていません」と厳しい。
公民権運動があった期間中、同連盟の指導者の大多数は沈黙を守るか、人種的分離を支持した。ここ数年間で、同連盟は人種差別を許していたことを悔い改め、アフリカ系アメリカ人に謝罪した。そして少数派を彼らの群れに引きつける努力をすると公表した。
2012年には、同連盟の5万1000の教会のうち約20%を白人ではない人種の人が占めるようになった。しかし、複数の人種が共に集う教会は1%未満だ。サウスイースト・バプテスト神学校のダニー・アキン校長は、 教会が1世紀以上にわたって人種差別を制度化してきたことに対し、ただそれを正すためだけに働いていることを嘆いた。
「私の深い悲しみは、われわれがこの流れに乗り遅れたことです」とアキン校長。「われわれはこの道を先導すべきでした。キリスト教会は、差別と不正義の問題に対して傍観するのではなく、最初に声を上げるべきです」