小さなセスナ機が飛行中、エンジントラブルに見舞われた。
「この飛行機はまもなく墜落します。私は事故の報告をする義務があります」
パイロットはそういうと、4つしかないパラシュートのひとつを背負うと飛び降りてしまった。残された乗客は4人。パラシュートは3つしか残っていない。
するとひとりの男が「私は医者だ。たくさんの人の命を救うことができる」といってパラシュートを背負って飛び降りていった。残ったパラシュートは2個。
次の男が「私は弁護士。世界でも最も頭脳明晰といわれた男だ。生きる権利がある」といってパラシュートを背負って、飛び降りていった。残ったパラシュートは1個。
残った乗客は、牧師と少年だった。牧師はいった。
「私は充分長く生きた。君には未来がある。パラシュートを持っていきなさい」
すると少年はいった。
「牧師さん、大丈夫です。パラシュートはまだ2個残っていますよ」
「ええっ、なぜ?」と驚く牧師さん。
「だって、さっき世界でもっとも頭脳明晰な男が、僕のリュックを背負って飛び降りていきましたから」
牧師は、通常このような対応をするつもりで生きています。そのような場面に遭遇したことがないので、本当にそうできるだろうかと、ふと考えることもあります。
ある牧師がキリストへの信仰のために殉教した。処刑台にのぼる時に恐ろしくないかと問われた。「いいえ。恐ろしくはありません。説教のために講壇にのぼる時に比べれば……」
これは本音ですが……。
キリストには12人の弟子がいました。キリストは弟子たちを愛し、24時間寝食を共にし、ご自分の全てを見せ、全てを伝え、全てを教え、伝授しました。しかし、当の弟子たちは、全く教えられたことが身についていませんでした。
キリストがこれから十字架にかかって、全人類の罪を背負って死ぬことを伝えている時にも、「俺たちの中で誰が一番偉いのか!?」と争っていたのです。キリストが、血の汗を流して十字架にかけられる直前まで祈っていましたが、弟子たちは居眠りしていました。
キリストが逮捕された後には、全ての弟子たちがキリストを裏切って逃げてしまいました。キリストを裏切ったのは「イスカリオテのユダ」だけではなく、全ての弟子たちだったのです。キリストの弟子だと知られたら、一緒に殺される可能性があったので、死ぬことを恐れたのです。
しかしどうでしょう。同じ弟子たちが、キリストが十字架にかけられ、死んで墓に葬られ、3日後によみがえった後には、聖霊に満たされ、別人のようになってしまいました。大胆に「キリストが復活した!」と証言して、ほとんどの弟子たちが殉教しました。
キリストの弟子たちは、少し前まで臆病だったのに、どうしてそんなに変わってしまったのでしょうか。
2つの理由があると思います。
1つ目は、キリストの復活が事実であった。それを否定できなかった。見たこと、聞いたことを語らずにはおれなくなったからでしょう。
2つ目は、弟子たちは神の霊である聖霊に満たされたからです。聖霊に満たされる前は、生きた屍のように無力で、空っぽでした。自分が師事して来た先生を裏切り、さらに失ってしまったからです。しかし、聖霊が降臨し、弟子たちを満たした途端に、神ご自身が乗り移ったかのように、別人のように変わってしまいました。
弟子たちの、死ぬことを恐れない大胆な伝道が功を奏し、AD300年にはローマ帝国がキリスト教化され、現在では、世界の人口の3人のうち1人に当たる20億人がイエス・キリストを救い主と信じてクリスチャンになりました。
弟子たちが殉教をも怖れない人になった秘訣は、私たちにとっても有益な秘訣だと思います。
第一に、弟子たちが命をかけて伝えたイエス・キリストの復活は、事実であったに違いないということです。私たち人類は、例外なくみんな一度死にます。しかし、その死の向こうに復活があると信じられることは絶対的な希望です。不可能を可能にする復活を信じて生きる人の人生は、キリストの弟子たちのように、大胆で意義ある人生を生きるようになります。
第二に、弟子たちが聖霊に満たされた後には、全く違う人のように変わりました。臆病だったのに、大胆に変わり、利己主義だったのに、愛の人に変わりました。これはスーパーマンになったのではなく、本来の人間の姿に戻ったのです。神が造られた人間は、聖霊に満たされた、神に似た存在でした。しかし、罪が人を堕落させ、人格を破壊させてしまいました。残念です。でも大丈夫です。キリストを救い主と信じ、聖霊に満たされるならば、本来の自分、本来のあなたに戻ることができます。
弟子たちが変化したように、私たちも新しく生まれ変わって、本来の人間の姿になれることが希望ですし、現実として体験できるはずです。
「だれでもキリストのうちにあるなら、その人は新しく造られた者です。古いものは過ぎ去って、見よ、すべてが新しくなりました」(コリント人への手紙第二5章17節)
一回だけの繰り返すことのできない人生です。そろそろ新しく生まれ変わる時が来ているのではないでしょうか。人生をやり直せるグッドニュースを体験し、伝えて行きましょう。祝福を祈ります。
グッドニュースは教会に来たら聞くことができ、体験することができます。
◇
菅野直基(かんの・なおき)
1971年東京都生まれ。新宿福興教会牧師。子ども公園伝道、路傍伝道、ホームレス救済伝道、買売春レスキュー・ミッション等、地域に根ざした宣教活動や、海外や国内での巡回伝道、各種聖会での讃美リードや奏楽、日本の津々浦々での冠婚葬祭の司式等、幅広く奉仕している。日本民族総福音化運動協議会理事。
■外部リンク:
新宿福興教会ホームページ
(メッセージをくだされば、みなさんの近くの教会を紹介致します。)