中央アフリカ共和国で、キリスト教系民兵組織とイスラム教武装勢力の対立があり、国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルは2日間で約1000人が殺害された報告した。
アムネスティ・インターナショナルは19日、首都バンギで2日間に約1000人が殺害されたなどとする、同国での衝突についての報告を発表した。
キリスト教人口が過半数を占める中央アフリカでは今年3月、反政府勢力であるイスラム教武装勢力「セレカ」がクーデターを起こし、フランソワ・ボジゼ大統領が国外逃亡するなど、混乱が続いていた。これに対し、セレカによる暴力やレイプ、虐殺などに対抗するため、キリスト教系住民が民兵組織「アンチバラカ」を結成したことなどから、同国での対立が激化することになった。
アムネスティ・インターナショナルの調査によると、首都バンギでは今月初めに、キリスト教系民兵組織のアンチバラカが、イスラム教徒の住宅を襲撃し、男性約60人を殺害。これに対して、イスラム教系武装勢力のセレカが、2日間で約1000人を殺害する報復を行ったという。犠牲者には少数だが、女性や子どもも含まれていたという。
一方、別の国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチは19日、この対立についての今年9月以降の報告書を発表。同報告書の執筆者であるピーター・ブッカー氏は、「中央アフリカ共和国で起きている残虐な殺害事件の結果、殺人と報復のサイクルが生じ、停止不能な状態に陥っている」と指摘し、「国連安全保障理事会は、この悲惨な悪循環を止めるよう直ちに行動する必要がある」と訴える。
同報告書では、アンチバラカについては、地元の自警団と前政権派の兵士で構成され、「自警団」と称するが、その行動や主張の多くはイスラム教徒に対して激しく敵対的だと報告する。イスラム教系住民数百人を殺害し、民家への放火、家畜の略奪など、「アンチバラカによる攻撃の多くは、目を覆いたくなるような残虐なものだ」と伝えている。
また、セレカについては、3月のクーデター後一旦解散しており、現在は「元セレカ」と呼ばれる勢力が、対立が激しい同国ウハム州の州都ボッサンゴアの司令官の黙認の元攻撃を行っていると伝えた。